夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百十話 争わずともその九
「頭目のお父さんがたまたま入った時に見初めて」
「お父さんが就職してすぐじゃった」
「呉に行かれた時に」
「それでじゃった」
そうだったというのだ。
「一緒になったけえ」
「それで頭目もですか」
「そうじゃ」
自分自身もというのだ。
「婿を探してるんじゃ」
「生涯一緒の相手を」
「そうじゃけえ、こっちの世界でも」
「起きた世界でもですね」
「こっちの世界の婿も探して」
そしてというのだ。
「起きた世界でもじゃ」
「そちらでもですか」
「そうじゃ、しかし誰もじゃ」
誰に声をかけてもというのだ。
「避けるけえ」
「それは当然ですよ」
猿人のその顔を曇らせてだ、ガルパンは碧に答えた、
「やはり」
「そう言うけえ」
「おいらっちもですそうなりますで」
自分もとだ、ガルパンは碧に話した。
「やっぱり」
「少しです」
ビクトリアも碧に話した。
「自重されては」
「折角お顔がよくて」
梁も言ってきた。
「女子力も高いのに」
「お料理は大得意じゃ」
碧はこのことには胸を張って言い切った。
「家事洗濯も出来るぞ」
「そうですよね」
「特にお好み焼きが得意じゃけえ」
料理の中でもというのだ。
「何といっても」
「お好み焼きですね」
「本場仕込みじゃ」
「つまり広島の方ですね」
「大阪は大阪焼きじゃ」
そこは違うと言うのだった。
「それで広島がじゃけえ」
「本場ですね」
「そうじゃけえ」
「そこ言わんこととよ」
美鈴はここでまた言った。
「お好み焼きの話は」
「お互いこだわりがあるけえのう」
「そうたい、だからたい」
それでというのだ。
「言わんことよ」
「わらわとしてはこだわりがあるんじゃ」
「広島モンとしてじゃな」
「お好み焼きはじゃけえ」
それはどうしてもというのだ。
「どうしてもじゃ」
「そこは譲れないと」
「そうじゃけえ」
「私にとってはとよ」
福岡生まれではとだ、美鈴は碧に話した。
「どっちもとよ」
「お好み焼きって言うんじゃな」
「そうたい」
「というかな」
今度はカナダ人のモンゴメリが言ってきた。
「どっちも美味しいさかいな」
「それでけえ」
「どっちもお好み焼きでええやろ」
「そやね」
黄はモンゴメリの言葉に同意して言うのだった。
ページ上へ戻る