夢幻水滸伝
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第百十話 争わずともその二
「シリーズで」
「そうたい、ただホークスは負けんとよ」
「シリーズめっちゃ強いしな」
「特に阪神にはたい」
「絶対にシリーズで勝ってるしな」
「これは南海時代からとよ」
親会社がこの企業だった時からのことだというのだ。
「阪神に負けたことはなかとよ」
「それは凄いな」
「そうたい、だからたい」
「秋はやね」
「こっちが日本一になってるたい」
そうだというのだ。
「それが約束されているたい」
「約束されてるんやな」
「そうたい」
こうも言うのだった。
「阪神には絶対に負けんとよ」
「ほな巨人はどや」
モンゴメリは美鈴に笑ってこのチームの名前を出した。
「あのチームには」
「巨人がシリーズに出ることは絶対にないたい」
「万年どころか億年連続最下位やからやな」
「一年辺り百二十敗してるたい」
勝率一割台、チーム打率は去年で何と二割丁度でチーム防御率は六点台、エラーは百五十という見事な数字を残しておりテレビに出ている信者共が常に発狂している。巨人には無様な負けがよく似合う。
「そんなチームがシリーズに出るたいか」
「それは有り得んな」
「だからたい」
それでというのだ。
「それはないたい」
「そういうことやな」
「それでたい」
さらに言うのだった。
「巨人と戦うことは絶対にないたい」
「それはそうやな」
「だから安心してろとよ、ただ」
「ただ?どうしたんや」
「巨人には怨み骨髄や」
「ああ、ホークスはか」
「南海時代からな」
その頃からのことだというのだ。
「選手強奪されたりとかでな」
「確か別所さんやったな」
「そうたい、あれは忘れられんとよ」
「いや、自分生まれてへんやろ」
黄がすぐに美鈴に突っこみを入れた、美少女そのものの顔立ちと髪型だがよく見れば背が一七四ある。尚このことは起きた時も同じである。
「僕ちん達全員やけどな」
「それはそうたいが」
「忌まわしい歴史ってことかいな」
「別所強奪、広岡や柴田を獲得しようとしたら横取りされて」
全て巨人の邪悪な振る舞いのことである。
「今もな」
「監督さんに小久保さんにやな」
「杉内、ホールトンもとよ」
「巨人に随分やられてるか」
「その怨みがあるさかい」
美鈴は鼠の顔を憤怒にさせて言った。
「それでとよ」
「今もそう言ってか」
「そうたい、巨人と試合をすれば」
その時はというのだ。
「絶対にとよ」
「勝ちたいか」
「完封、二十点差で勝つのが絶対とよ」
「自分ほんま巨人嫌いやな」
「八条学園で巨人ファンは嫌われ者しかおらんとよ」
八条学園の不思議な法則の一つである、アンチ巨人が学園全体で多くファンは例外なく極めて人格が悪いか卑しいのだ。
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