| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九話 鱈と共にその十

「あたいは飲まずにいられないのよ」
「お酒が好きだからですね」
「そうよ」
 その通りだと言ってだ、アレンカールはさらに飲んだ。
「好きだから飲むのよ」
「飲むとそれだけ楽しい気持ちになる」
 関西弁のニュアンスでだった、レベッカが言った。
「それやからですね」
「そうよ、飲むといつも以上に楽しい気持ちになるから」
「飲まれますね」
「あたいは気分がええ時に飲むのよ」
「そして余計に気分をよくするのですね」
「そうなの、それで気落ちしている時は」
 そうした時はというと。
「飲まないのよ」
「そうなのですか」
「自棄酒や憂さ晴らしのお酒は飲むな」
 ここでこうも言ったのだった。
「マンマに言われてきたのよ」
「お母さんにですか」
「そう、ブラジルにいるね」
 言いつつさらに飲む。
「そう言われたからよ、ちなみにパパも言ってるわ」
「ご両親のお言葉ですか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「あたいはね」
「気が楽しい時に飲まれて」
「そしてね」
 そのうえでというのだった、再び。
「気をよくさせているのよ」
「そうした飲み方はええですね」
「自棄酒はあかんです」
 カブラルも飲みつつ言う、やはり彼も亀の緑の顔に赤みがさしている。目にも酔いがはっきり見られる。
「それは余計にです」
「心の嫌なものを大きくするわね」
「そうしたもんですさかい」
「飲まない方がいいわね」
「そうしたもんですね」
「心が辛い時はね」 
 どうすればいいか、アレンカールはその話もした。
「もうね」
「その時はですね」
「そうよ、身体を思い切り動かすかとことん勉強して」
 そしてというのだ。
「とことんまで疲れきって」
「それで寝ますね」
「それがいいわ、お酒に逃げるよりも」
「何かをすることですか」
「辛い時こそ前向きよ」
 そうあるべきだというのだ。
「もっとも欝になるとね」
「それもですね」
「難しいけれど」
 それでもというのだ。
「欝の時は少しお外に出て」
「お日様の光を浴びることですか」
「そうすれば少しでもね」
「気持ちが上向きますね」
「そして歩いたら」
 外でというのだ。
「変わるっていうから」
「いいのですね」
「そうよ、あたいが思うにね」
「棟梁は普段は明るいですが」
「それでも落ち込むから」
 そうした時はあるというのだ。
「そうした時はね」
「身体を動かしたりですか」
「それも徹底的にして」
 身体をそうしてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧