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夢幻水滸伝

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第百九話 鱈と共にその九

「悪人かというとね」
「決してちゃいますね」
「そうなのよ」
 これがというのだ。
「本当にね」
「左様ですね」
「というか」
 考える顔でだった、ビークが言ってきた。
「善人も一つのパターンだけやない」
「色々な種類の善人がいるわね」
「そうですね」
「悪人もそうだけれど」
「善人もまた」
「だから誰が善人ともね」
 そう言うこともというのだ。
「難しいわね」
「そうですよね」
「これはね、けれどね」
「けれどといいますと」
「誰がどう見てもはっきりわかる悪人もいるでしょ」
 そうした輩もというのだ。
「よく見ればにしても」
「そうした奴はいますね」
 ビークはアレンカールのその言葉に頷いた。
「ほんまに」
「そうよね」
「どうにもならない奴が」
「そうした奴は論外よ」
 善人か悪人か見極めることはというのだ。
「もうね」
「見てわかるだろということで」
「ほんまにね」
「そうした奴にはならん様にする」
 ママニは太く強い声で述べた。
「そういうことですか」
「要するにそうね」
「そういうことですか」
「そう、そしてね」
 アレンカールはまた飲みつつ話した。
「そうした奴を見て」
「そのうえで」
「しっかりとやっていくことよ」
「この世界を救うにしても」
「それが大事なのよ」
 こうママニに言った、そうして今度は豆腐を食べた。鍋の中の豆腐は熱くしかもあっさりして美味かった。
「やっぱりね」
「そうですね」
「さもないとね」 
「世界を救うなんて」
 それこそというのだ。
「出来ないわ」
「そうですね」
「そうしたところはしっかりしないとね」
「人として」
「星の子であるという以前にね」
「そういうことですね」
「そうよ、それと」
 アレンカールはここで話を変えた、その話はというと。
「皆飲んでるわね」
「この通りですよ」
 ライアが真っ赤になった顔で答えた、ホブゴブリンのダークグリーンの肌に赤みがさしていてそれがわかる。
「飲んでます」
「それは何よりよ」
「ですが棟梁は」
「飲み過ぎかしら」
「かなり」
 こう指摘した。
「今日も既に一升空けていますね」
「もうそれ位飲んでるわね」
「そしてさらに飲まれますね」
「これからさらに」
 まさにと言うのだった。
「あと一升は飲むわ」
「そうですね、毎日そう飲まれると」
「身体によくないわね」
「そうですが」
「それはわかっていてもね」
 それでもというのだ。 
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