夢幻水滸伝
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第百九話 鱈と共にその五
「九十五億の民全てを食べさせて仕事を用意して」
「ええ、いい暮らしをさせないとね」
「駄目ですね」
「九十五億全員といってもね」
「やはりそこからですね」
「零れる人はいるわね」
「残念なことに」
「だから最大多数の最大幸福よ」
ここでだ、アレンカールはこの言葉を出した。
「このことが大事よ」
「よく政で使われる言葉ですね」
「そうでしょ、けれどね」
「このことはですね」
「実際にその通りでしょ」
「全員は、ですね」
「現実として。政を行う人が言ったら駄目だけれど」
それでもとだ、アレンカールは話した。飲みつつ述べた。
「それでもよね」
「現実は、ですね」
「それでね」
最大多数の最大幸福、それを実現させることだというのだ。
「統一したらね」
「九十五億の民をですね」
「幸せにすることをね、目指して」
「九十五億の出来るだけ多数をですね」
「幸せにすべきよ、吉川ちゃんも言ってたと思うけれど」
彼の名前も出して話した。
「ユートピアはこの世界では実現することはほぼ無理よ」
「逆に実現させようと思えばですね」
「とんでもない地獄になりかねないわよ」
「かつての共産主義国家の様な」
「そうなるからね」
だからだというのだ。
「目指すべきではないわ」
「それよりも最大多数の最大幸福ですね」
ヘッドも言ってきた。
「それを求めるべきですね」
「あたいもそう考えてるわ」
「そうなりますね」
「ええ、後はね」
「後は?」
「国力をつけたらやっぱり戦ね」
それになるとだ、ヘッドに話した。
「この世界を統一する為に」
「戦ですね」
「ええ、多分ロシアとインドの枢軸とね」
この勢力と、というのだ。
「戦うことになるわ」
「世界を決める様な戦になりますね」
「そうよ、間違いなくね」
「国力はこちらが圧倒しているでしょうが」
戦になるその時はというのだ。
「しかし」
「侮ったら駄目よ」
飲んでいていつものお姐調子だがアレンカールは真面目な声で話した、そうしてそのうえでいうのだ。
「決して」
「敵は強いですね」
「女帝ちゃんと雷帝ちゃんを甘く見たら駄目よ」
「そうですね、お二方は」
ヘッドも二人のことを聞くと表情を強張らせて述べた。
「三極星ですし」
「その性格もね」
「我々とは違って」
「玉座にいる時は苛烈そのものだから」
それ故にというのだ。
「こちらがどれだけ国力や星の子の数で圧倒していても」
「油断出来ないですね」
「圧倒的勢力が負けるなんてことはね」
それこそという口調での言葉だった。
「戦ならざらでしょ」
「確かに。よくある話です」
ヘッドもその言葉に頷いた。
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