八条学園騒動記
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第五百三十三話 天本博士と謎の集団その十二
「それでもじゃ」
「それが博士のポリシーですね」
「わしは小悪党が嫌いなのじゃ」
「ヤクザ屋さんとかDQNが」
「悪を為すなら大きな悪を為せ」
「それが博士のポリシーですね」
「だからああした連中には教えてやるのじゃ」
博士が言う小悪党達にというのだ。
「その命を以てな」
「大きな悪とは何か、ですか」
「時間をかけてゆっくりと惨たらしく殺してやってな」
「殺人ですね」
「殺人は悪であるな」
「言うまでもないですよ」
それこそとだ、野上君も答えた。
「文句なしに人の最大の悪事の一つです」
「そうであるな」
「聖書に書かれるまでもなく」
「カインとアベルじゃな」
「それ以前から」
それこそというのだ。
「人の最大の悪事の一つです」
「それを本人達に行ってじゃ」
「教えてるんですか」
「真の悪をな」
「その命を以て」
「そもそも小悪党を見ていると腹が立つ」
博士個人の感情としてだ。
「それでじゃ」
「博士のポリシーで」
「殺しておる」
「そうなんですね」
「そうしたことからもな」
博士は何時の間にか赤ワインとグラスを出していた、それを開けて飲みつつ野上君に対して話していく。
「わしのポリシーがわかるであろう」
「小悪党は嫌いで見ていて腹が立つ」
「そうした連中は殺す」
「そういうことですね」
「そしてわしは殺人も趣味であるからな」
「それってシリアルキラーですよ」
野上君は即座に返した。
「そのまま」
「そうであるな」
「認められるんですね」
「うむ、そう言われるとな」
実際にと言うのだった、博士も。
「否定出来んものがある」
「だからですか」
「そう言われるとな」
シリアルキラー、連続殺人鬼かというとというのだ。
「そうであるな」
「そういえば博士嘘も」
「つかん」
はっきりとした返事だった。
「それはな」
「それもポリシーですか」
「そうじゃ、嘘も嫌いでな」
小悪党と共にというのだ。
「それでじゃ」
「嘘は吐かないんですね」
「わしの誇りが許さぬ」
「あくまでポリシーに従うんですね」
「わし自身のな」
「それは見事ですね」
「褒められると嬉しいが何も出んぞ」
博士は野上君に笑って返した。
「別に」
「そんなの求めてないですよ、ですが博士の縛りは」
「法律やモラルでなくな」
「ご自身のポリシーなんですね」
「あくまでな」
「そしてそれがマッドサイエンティストですか」
「左様、法律やモラルなぞ知らんが」
そうしたものは一切無視するがというのだ。
「それでもじゃ」
「ポリシ―は絶対で」
「そこから外れることはな」
「一切ないんですね」
「そういうことじゃ、ではな」
「今からですね」
「行って来る」
こう言ってだ、そのうえでだった。
博士はタロとライゾウを連れてメカラドンに乗り込んだ、そうして研究所を発ちそうしてまずは宇宙に出た。
天本博士と謎の教団 完
2019・7・24
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