| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おっちょこちょいのかよちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

21 大日本帝国の復活

 
前書き
《前回》
 オリガと丸岡に苦戦するかよ子達。その時、森の石松、杉山達組織「次郎長」、隣町の学校の組織「義元」が救援に現れる。一方、かよ子の隣の家に住む高校生・三河口健と長山の家の近くに住む北勢田竜汰はかよ子達の行方を捜していた!! 

 
 長山は山口達に聞く。
「き、君達は?」
 長山の質問に山口が答える。
「ああ、俺達は隣町の学校にすむもんだ。大野や杉山達と協力して異変の起きる場所を探していたんだよ」
「そうだったのか。それにしても君達もどうやら『この世のものじゃない能力(ちから)』を持っているね」
「ああ、そうだよ。鋭いな」
「まあね。でも、あの男はどうも僕を狙ってるんだ。それにあの女性の方は真正面から狙っても防がれる。それに相手の体を簡単にバラバラにして殺す事もできるんだ」 
「何だって!?嫌な敵だな」
「まあ、兎に角こっちは大勢いるんだ。総力戦と行こうぜ!」
 川村は案じた。
「あ、かよちゃんも助けなきゃ・・・!!」
 すみ子は河川敷にいるかよ子の姿を見た。かよ子は丸岡と対峙している状態である。丸岡に対して石松が刀を振りかざす。丸岡は何とか避けた。
「ふん!」
(こいつも『簡単に倒せる敵』と設定しないと・・・!!)
 丸山はそう認識するよう設定し、発砲した。だが、それを見たすみ子も己の銃でかよ子と石松の周囲にバリアを張った。
「何っ!?くそ、オリガ、あいつら纏めてやれ!」
「了解!」
 オリガはその場にいる小学生達を諸共抹殺しようとした。だが、今度は石松が切り込みにかかり、できなかった。
「面倒くさい事になったわね・・・」
「ああ、何とか上手くやれればな」

 三河口と北勢田は異変の現場へと向かう。そして到着した。
「あそこだな、ん!?」
 三河口はその場に自分が知る女子がいた事に気づいた。
(かよちゃん!!大野君や杉山君達も。濃藤の妹とその友達もいるぞ!)
「あいつらは一体何なんだ!?」
「おそらくこの日本を変えようと考えてる奴らだろう。今無理に出ると返り討ちに合うかもしれん。様子を見よう」
「何だと!ウチの近所の子もいるんだぞ!それに子供に対して相手は大人だ!」
「ああ、俺が住む家の隣に住む子もいるし、濃藤の妹もいるさ。だが、そのウチの隣に住む子も不思議な力を持ってるし、その子も前に異世界からの敵を倒している。さらにヤバくなったら俺達が出ればいい」
「わ、わかった!」
 北勢田は三河口が嘘を付いているようには聞こえなかったので一応は従う事にした。

「お前ら、一体何しに清水(ここ)に来たんだ!そして目的は何なんだ!?」
 大野が丸岡とオリガに質問した。
「それはこの日本を変える為さ。今の状態では非常に弱くなっちまっているからな」
 丸岡が答えた。
「つまり、戦争中の日本に戻すって事かい?」
 長山が更に質問する。
「そうだ、昔のような他所の領土を物にできる軍事力のある大日本帝国を復活させるのだ!」
(こいつ、前にアレクサンドルとアンナと同じ事を言ってやがる!!)
 杉山も大野も以前学校を襲った兄妹と同じ発言をしていた事を思い出した。
「何を言ってるんだい?そのやり方は多くの人を犠牲にしてきたんだ!そんな事でいい日本になる筈がないじゃないか!」
 長山が反論する。
「減らず口だな!折角いい知恵を沢山持ってるから仲間に従ったのによ!」
「僕は君のような人間の為に動くなんてできないし、そうしようとも思わないぞ!」
「皆、こいつらは長山君をさらうのが目当てだよ!」
 かよ子が口を挟み、皆に忠告した。
「そうだったな、こんな話を聞いている場合じゃなかったぜ!」
 皆は我に帰り、戦闘を再開した。
「皆、あのオリガって女性は相手を一瞬で殺せる能力がある。下手すれば全滅してしまう!」
「ああ、やられないようにしないと!すみ子、お前の銃で防御が張れるよな!」
「うん・・・!!」
 すみ子は地面に銃を撃った。
「無駄だ、俺の認識術で無効にしてやる!」
 丸岡は自分が考えた通りに認識する事でそれを現実にさせる能力を会得している。例えば、相手から見て自分をカッコいいと認識させるよう頭の中で考えれば周囲は丸岡をカッコいい二枚目の男性と思え、一羽の鳩を周囲が鶏と認識させるように思い浮かべればその鳩は周囲の人々には空を飛ぶ不思議な鶏と見える、といったものだ。また、それだけではなく、自分自身の意のままに認識する事も可能である。
「オリガ、これで消せるぞ!」
「分かったわ」
 しかし、石松が邪魔に入る。
「させぬ!」
 石松がオリガに刀を向けて妨害する。
「山田かよ子。某の刀の力を借りよ!」
「う、うん!」
 かよ子は石松の刀に杖を向けた。かよ子の杖が刀に変わる。
「この男にかかれ!」
「わ、分かった!!」
 かよ子は兎に角石松の言葉に従うことにした。
「させるか!」
 丸岡はかよ子に向けて発砲する。その時、ブー太郎が水の石の力を行使して丸山を水圧で押し流した。かよ子は構わず刀を丸岡に振り下ろす。だが、丸岡を斬る事ができない。
「・・・え?」
「悪いが俺は『認識』だけではなく『矛盾』についての術も会得している。つまり本当なら俺は刀で斬られるが、頭の中で矛盾を作り出す事によってお前の刀は俺を斬る事ができないようにする事ができる。簡単に言えばできる事をできなくさせるという事だ」
 かよ子は丸岡のあまりにも反則的な能力に何も言えなかった。
「杉山、何だ、アイツの能力?」
「ああ、あまりにもふざけすぎているぜ」
「大野君、杉山君!オイラとさくらであの男を止めるブー!」
「私も手伝うよ・・・!」
「ありがとう、すみ子ちゃん!」
「分かった、俺達は女の方を何とかする!」
「大野、杉山、俺達も手伝うぜ!」
「ああ、サンキュー!」
 山口と川村は大野杉山に加勢した。
「ヤス太郎、お前はすみ子達を手伝え!」
 川村はヤス太郎に命じる。
「はいでやんす!」

「おにいちゃん、みんなたたかってくれてるね・・・」
「ああ、でも・・・」
 長山は自分や妹、そしてかよ子を護ろうと動いている皆に感謝したが、恩を返していないと感じていた。
「僕もこうして見ているだけじゃいけない・・・!!」 
 

 
後書き
次回は・・・
「認識と矛盾の脅威」
 丸山、オリガとの闘いを続けるかよ子達。かよ子にまる子、ブー太郎、すみ子、ヤス太郎が相手にする丸山の認識術・矛盾術はどちらも手強く・・・。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧