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八条学園騒動記

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第五百三十三話 天本博士と謎の集団その五

「有り得ないですが」
「神話ではよくあることじゃ」
「そういえばそうですね」
「北欧神話でもじゃろ」
「フェンリルもヨルムンガルドも兄弟です」
 どちらもロキの息子だ、前者が狼で後者が蛇の姿だ。
「哺乳類と爬虫類ですが」
「その辺りは考えんことじゃ」
「深くはですか」
「父親が人間の姿かそれに近くともな」
 そうした姿でもというのだ。
「ドラゴンが子供だったりするのはな」
「兄弟が犬だったり狼だとしても」
「別にじゃ」
 これといってというのだ。
「よくあることじゃ」
「そうですか」
「うむ、それでじゃ」
 それでというのだ。
「気にすることはない」
「そこ凄いですね」
「神話はそういうこともある、それでそのラドンをな」
「メカで再現したのがメカラドンですね」
「そうじゃ」
 そういうことだというのだ。
「これでわかったな」
「特撮みたいですね」
「よくメカの怪獣も出て来るのう」
「メカ何とかですね」
「二十世紀から出ておるわ」
 そうした怪獣を機械として製造したものはというのだ。
「完全なロボットはな」
「そうですね、ただ」
「ただ。何じゃ」
「オリジナルの怪獣とメカの方が戦うと」
「勝つのはオリジナルじゃな」
「大抵そうなりますよね」
「実は機械で再現してもじゃ」
 博士はロボットの方がオリジナルに敗れるという特撮の法則についても野上君に対して落ち着いた態度で答えた。
「再現しきれてないのじゃ」
「そうなんですね」
「並の科学者ではな」
「細かいところとかはですか」
「再現しきれてないうえにじゃ」
 博士は野上君にさらに話した。
「感情がない」
「メカの方には」
「そしてオリジナルは常にどんどん強くなるが」
「機械は」
「わかるじゃろう、君も」
「僕も科学者ですから」
 だからだとだ、野上君は博士に返した。
「機械の性能については」
「バージョンアップせんとよくならんな」
「常に学習してバージョンアップしますが」
 この時代の機械はそうなっている。
「やっぱり生物と違いますからね」
「機械は経験せんと学ばんが」
「生物は違いますね」
「思考の中で気付いたりもするな」
「それで強くなる、成長の速さも」
 野上君は強くなることをこう表現して話した。
「そちらが」
「機械より速いな」
「実際そうなんですよね」
「だからオリジナルの方がじゃ」
 特撮ではというのだ。
「常に勝つのじゃ」
「そういうことですね」
「中にはメカが負けて首をもぎ取られてな」
「そうしてですか」
「負けた作品もある」
「それはまた完敗ですね」
「二十世紀後半の映画のことじゃ」
 特撮のそれである。 
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