八条学園騒動記
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第五百三十三話 天本博士と謎の集団その四
「そんなものを造ってもな」
「面白くない、ですね」
「だからじゃ」
それでというのだ。
「造るものは絶対に普通でないものじゃ」
「だからメカラドンですか」
「少し造ってみたのじゃ」
「少しですか」
「全長二キロの巨大ロボットじゃ」
「二キロもあるんですね」
「移動基地でもある」
そのメカラドンはというのだ。
「そして百の頭の目や口からビームを出せる」
「そうした改造もされたんですね」
「遊びで宇宙海賊のアジトに殴り込みも出来る」
「それで大量虐殺もされるんですね」
「それも可能じゃ」
まさにというのだ。
「今度してみるぞ」
「また人を殺されるんですね」
「小悪党はおらんでいい」
実に博士らしい返事だった。
「世の中はな」
「悪党ならですね」
「堂々たる大悪党でならねばならん」
「だから街の暴走族とかチーマーとかヤクザ屋さんとか殺すんですね」
「趣味でな」
「それで海賊も」
「殺人はわしの趣味だからのう」
それでこれまで多くの人を殺してもきている。
「小悪党限定であるがな」
「これまで一億人は殺されてますよね」
「一億二千万三千百四十五人殺した」
これが博士がこれまで殺した人の数で自ら言った。
「二百億年の間にな」
「人類だけで、ですね」
「人類と共に暮らしていてじゃ」
そうしてというのだ。
「それだけの小悪党を殺してきた」
「それで今度ですか」
「そのメカラドンを使ってな」
「宇宙海賊のアジトに襲撃を仕掛けて」
「殺してくる」
まさにというのだ。
「今度な」
「そうされますか」
「それでじゃが」
博士は野上君にさらに話した。
「メカラドンの大きさじゃが」
「二キロあるんですね」
「うむ、ラドンの大きさを再現した」
ギリシア神話に出て来るそれのというのだ。
「頭を上げると天にまで達する」
「その大きさが、ですか」
「大体二キロなのじゃ」
「大きいですね」
「いやいや、父親のテューポーンはさらにでかいぞ」
ギリシア神話の異形の神だ、その巨体だけでなく百のドラゴンの頭を持ち蛇の身体になっている両脚と全身羽毛が生えた身体の姿でも有名だ。
「両手を広げると地と地の端に届くからな」
「そう思うとですか」
「ラドンもじゃ」
「大きくて当然ですか」
「遺伝じゃ」
「遺伝でそこまでの大きさですか」
「尚ケルベロス等もテューポーンの子じゃ」
ギリシア神話に出て来るこの犬の怪物もというのだ。
「犬であるがな」
「それ生物学的におかしいですよね」
「ラドンとケルベロスが兄弟だとじゃな」
「ドラゴンと犬って遺伝的には」
まさにとだ、野上君は言った。
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