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戦国異伝供書

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第五十八話 出家その八

「あくまでな、しかしな」
「あのお二方をですな」
「お館様の両脇に置かれ」
「そうしてですな」
「天下を統一され」
「長い泰平も築かれますな」
「そうしたい」
 こう家臣達に言った、するとだった。
 山本がここで信玄に言ってきた。
「お館様、この度天下が泰平になりますと」
「どうなるのじゃ」
「それがしの星の見立てですが」
 それによると、というのだ。
「二百年はです」
「その泰平が続くか」
「そう出ております」
 こう信玄に話した。
「その様に」
「二百年か」
「左様であります」
「それは長いな、ではな」
「その二百年の泰平をですか」
「築く為にもじゃ」
「お二方をですな」
「家臣としたい、そしてな」
「その為にも」
「ここは勝つ」
 謙信にというのだ。
「必ずな」
「では」
 山本は信玄にあらためて答えた。
「その策はです」
「お主がか」
「考えさせて頂きます」
「そこは任せる」 
 これが信玄の返事だった。
「策のことはな」
「それでは」
「そしてな」
「その策で、ですな」
「必ず勝つとしよう」
「そうしてですな」
「それで終わらせる」
 謙信との戦をというのだ。
「よいな」
「それでは」
「そしてじゃが」
 信玄はさらに言った。
「源助であるが」
「はい、あの者ですが」
 信繁が言ってきた。
「今もです」
「城に健在であるが」
「狼煙からも忍からも」
 その両方からというのだ。
「絶え間なく報が来ていますが」
「城も兵もでじゃな」
「あの者も」
 高坂もというのだ。
「無事で」
「ではじゃな」
「このままです」
「信濃の北まで行ってじゃな」
「そのうえで合流出来まする」
「それは何よりじゃ、源助も必要じゃ」
 信玄はこうも言った。
「当家にとってな」
「全くですな、あの者がいれば」
 まさにとだ、信繁は兄に応えて述べた。
「柱が一本ある」
「その様に思えるな」
「まさに」
「だからこそな」
「源助にしても」
「そうじゃ」
 それ故にというのだ。 
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