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八条学園騒動記

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第五百三十一話 二人だけとなりその八

「やはり」
「そういうことですね、豊かで安定した社会だからこそ」
「錦鯉も楽しめます」
「こうした日本の庭園で」
「そうです、それが私の考えです」
「そうなのですね」
「連合が今の様に安定したままですと」
 豊かでとだ、トラップはさらに話した。
「これからもです」
「こうした場所も楽しめますね」
「そうなります、ただ」
「ただ、とは」
「今サハラのお話が出ましたがサハラもやっと」
「あっ、統一して」
「そうしてです」
 そうなってというのだ。
「やがてはです」
「安定してですね」
「豊かにもなるでしょうね」
「そうして庭園もですか」
「楽しめるかと」
「そして何かを飼うことも」
「そちらもです」 
 マリアに穏やかな声で答えた。
「そうなるでしょう」
「やがては」
「はい、ただ」
「ただ、とは」
「晋は建国され中国を統一してすぐに滅びました」
 先程話したこの国はというのだ。
「今お話した通りに」
「八王の乱が起こって」
「その前の皇后と彼女の一族の専横と」
 これを外戚という、どの国でも皇帝や王の妻の親族が権勢を振るうということはあるがこれは中国も長い間然りだったのだ。
「そしてです」
「皇族同士の大乱ですね」
「それで建国間もないというのに」
 それでもというのだ。
「国はどうにもならなくなりました」
「建国の時こそといいますね」
「はい、国家は治めるべきであり」
「土台を固めないといけないですね」
「それはサハラも同じで」
「統一してからですか」
「そこでどう治めるか」
 これがというのだ。
「大事でしょう」
「そういえば政権に就いて」
 マリアも自身の知識から話した。
「それで大喜びして」
「選挙に勝った、勝ったですね」
「それで終わってです」
「肝心なのはその後ですね」
「政権としてどうして政策を行っていくか」
「それがなくて」
 政策を掲げていてもそれを実行に移さなくてはならないのだ、だがその政策が実現不可能だったり実現させる能力がなかったりするケースもあるのだ。
「崩壊した政権となりますと」
「連合には多いですね」
「幾ら耳にいい政策を掲げていても」
「その政策が、ですね」
「実現出来ればいいですが」
「そうでないのなら」
「まことにですね」
 マリアも言うことだった、どうかという顔で。 
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