夢幻水滸伝
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第百七話 若草山にてその十一
「苺かトマトのジュースにサンドイッチを」
「持って行ってか」
「食べたいですね」
「それはいいな」
「はい、特に苺ですね」
「そのジュースが好きか」
「私は」
こう吉川に話すのだった。
「身体にもいいし、ただ」
「ただ。ヴァンパイアだからよね」
「血も飲みますし」
「そうよね」
「ヴァンパイアは血を自身の栄養にしやすい体質ですから」
「そうした種族よね」
「ですから」
それでというのだ。
「血を飲むこともです」
「好きでね」
「色々な血を飲みますが」
「この前スッポン料理出してもらってスッポンの血を飲んでいたわね」
「はい、美味しくて」
そのスッポンの血についてもだ、ニャメは話した。
「後で凄く元気にもなれました」
「スッポンの血は元々強壮剤だけれど」
「私達ヴァンパイアにとっては特にです」
「身体にいいです」
「そうよね」
「はい、ただ」
「飲み過ぎるとやな」
ニャメにホンワナが顔を向けて話した。
「よくないな」
「そうなの、元気になり過ぎて」
「鼻血とか出るな」
「そうなるから」
それでとだ、ニャメはホンワナに話した。
「だからね」
「飲み過ぎたらあかんな」
「そこは私も気をつけてるから」
「そやな」
「ヴァンパイアの体質はわかっておかないとね」
自分自身もというのだ。
「ほんまに」
「それぞれの体質はほんまにありますね」
ここで言ったのはファラーだった。
「私もゴーストですし」
「自分の場合は実体がないからな」
そのファラーにウスマンが話した。
「ゴーストやから」
「このことを踏まえて」
「こっちの世界ではやっていってるな」
「はい」
さらりとした黒の髪の毛を長く伸ばした黒人の顔だ、顔立ちは涼し気で深い理知がそこに感じられる。
「ゴーストとして」
「そやな、かく言う僕もな」
「甲殻人ですね」
「ザリガニやからな」
「甲殻類は甲殻類でも」
「蟹とザリガニはまたちゃうし」
同じ甲殻類でもというのだ。
「中々面白い身体やしな」
「こちらの世界でのお身体のことは」
「しっかりと頭に入れて」
そうしてというのだ。
「やっていってるで」
「左様ですね」
「様々な種族がおる世界で」
ここで言ったのはクルマだった、大柄な象人である。
「その中でそれぞれの人が混在して暮らしてる」
「そうしたことを考えるとだ」
吉川がまた言った、ここで。
「我々が起きた世界での人種の話なぞな」
「些細なことやな」
ゴーディマーが述べた。
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