八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十一話 お茶の後でその八
「人は普段は善人で」
「いざという時にですね」
「悪人になると」
「それが一番怖いんでしたね」
「そう言っていましたね」
「いざという時にですか」
「自分が悪人になるか」
この場合は人を裏切る様な人だ、それも友達だと言っている相手を。
「そんな人になれば」
「最低だからですね」
「そんな最低な人になってしまわないか」
「怖いですか」
「本当に」
「そうですか、じゃあその人のことを」
僕はここで親父や畑中さんならこうした時僕にどういったことをお話してくれるかと考えながら早百合さんに答えた。
「忘れないといいんじゃないでしょうか」
「自分が危なくなったから人を裏切る人達のことを」
「そんな人達になりたくないと思えば」
それもいつもだ。
「いざという時にです」
「裏切らずに済みますか」
「そうじゃないでしょうか」
「そうですか」
「はい、ですから」
僕は早百合さんにさらに話した。
「ここはです」
「そうした人達にならない」
「そう思って」
そのうえでだ。
「やっていかれるといいんじゃ」
「そうなりますか」
「反面教師ですね」
僕はこの言葉も出した。
「ああはなるまい」
「そう思う人のことをですね」
「いつも頭に入れていますと」
「いざという時にですか」
「そんなことはしないと思います」
「そうなりますか」
「そうかと。確かに最低な人達ですが」
自分がけしかけておいて周りに何でもあんな奴と付き合っていたらあんたもどうか言われるとかその人が告白した女の人の友達に言われてそうなったしたらしい、聞けば聞く程本当の意味で秘境で意気地のない連中だと思う。嫌われ軽蔑されて当然だ。
「そうした人達のことを」
「常にですか」
「頭に入れておけば」
それでだ。
「そうしないで済みます」
「だからいつもですね」
「頭に入れておけば」
「いいですか」
「嫌いな人と同じことをしたら駄目ですから」
中には自分がやられて嫌だったことを嫌いな相手には進んでやる人もいるだろうがもうこれは文字通りの闇堕ちだと思う。
「そのことを覚えておいて」
「そしてですね」
「しっかりとです」
「そうしたことを頭に入れて」
「やっていったら」
「そうした人達みたいにですか」
「ならないと思います」
そんな行動を取らないということだ。
「そうした意味で早百合さんは」
「そんな人達にならないですか」
「いつもそうした人達のことを頭に入れていればですが」
この前提があってもだ。
「それでもです」
「そうですか」
「はい、しかし本当に最低ですね」
僕はあらためてつくづく思った。
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