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夢幻水滸伝

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第百六話 鉄砲という名の魚その二

「だからね」
「河豚を食べることは」
「幾ら美味しくてもよくぞとも思うわな」
「確かに美味いんですが」 
 セプルベダも言ってきた。
「それでも」
「猛毒だしね」
「怖いと思いますね」
「アマゾンじゃね」
 アレンカールの祖国ブラジルに流れる世界屈指の大河だ、ただ流域面積が広大なだけでなくアマゾンというジャングルになってて独自の自然があることでも有名だ。
「色々な生きものがいてね」
「そして色々な魚も」
「毒のある魚もというか河豚もね」
「いましたね」
「確かね」
 勿論淡水生である。
「食べる人はいない筈よ」
「アマゾンでも」
「それでもこっちじゃね」
 日本ではというのだ。
「食べるって聞いて仰天したのよ」
「そうした次第ですね」
「本当にね」
「けれどこの味ならね」
 ニキータが言ってきた、見れば皆もう食べだしているし飲んでもいる。
「納得よね」
「そうなのよね」
「日本ではね」
 この国ではというのだ。
「食べられて」
「美味しいわね」
「ほんまに」
「そう、毒があっても美味しい」
 アレンカールの口調はしみじみとしたものだった。
「蛙とはちゃうのがね」
「あの、その蛙は」
 リョサがすぐに突っ込みを入れた。
「ヤドクガエルですよね」
「そうよ」
 その通りだとだ、アレンカールも答えた。
「あの蛙よ」
「アマゾンにおる」
「あの蛙を食べたらね」
「死にますね」
「猛毒があるから」
 それでというのだ。
「そうなってもおかしくないわよ」
「そうですね」
「こっちの世界では大型の蛙がいて」
 モンスターとなっている。
「それでお口や手に毒があったりするわね」
「麻痺する毒持ってる奴もいます」
 リョサもそうしたモンスターと戦ってきている、とはいっても星の者である彼等にとっては何でもない敵だ。
「ポイズントードですね」
「あの系統のモンスターね」
「ああした相手は」
「そう、厄介よね」
「それでヤドクガエルは」
「食べたらね」
 その時はというのだ。
「死ぬからね」
「食べたらあきませんね」
「蛙って美味しいけれど」
 アレンカールは蛙の味自体についてはこう述べた。
「毒があるのは駄目なのよね」
「蛙は確かに美味しいですね」
 ピエトリも認めることだった。
「鶏みたいな味で」
「そうよね」
「はい、いけます」
 実際にというのだ。
「煮ても焼いても」
「あっさりした味でね」
「ほんまにいけますね」
「それと一緒なのかしらね」
 蛙と、とだ。アレンカールはあらためて述べた。 
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