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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十話 二重奏その八

「本当に」
「それは何よりです」
「二重奏って難しいですよね」
「特にピアノは」
「そうですよね、やっぱり」
「同じ楽器同士ですと」
 どうしてもとだ、早百合さんもお茶を飲みながら話してくれた。
「これがです」
「難しくて」
「お互いに技量が必要なだけでなく」
 それに加えてというのだ。
「息もです」
「それもですよね」
「合っていませんと」
「そうですよね」
「そしてです」
 さらにというのだ。
「実は私と彼。池辺直道君ですが」
「一緒に演奏していた人ですか」
「お付き合いしています」
「そうだったんですか」
「驚かれてますね」
「はい」
 その通りだとだ、僕は早百合さんに答えた。
「実際に」
「そうですよね」
「まさかと思っていましたけれど」
「そのまさかでして」
「お付き合いもですか」
「しています」
「そうだったんですね」
「はい」
 こう僕に話してくれた。
「実は」
「それで、ですか」
「演奏も」
 あの二重奏もというのだ。
「よく出来たとです」
「そうでしたか」
「交際がはじまったのは」
 その時期のことも話してくれた。
「文化祭がはじまる少し前でした」
「その時にですか」
「池辺君から告白されて」
「受けられたんですか」
「そうでした、一年生の頃から同じピアノ部で」
「部活を通じてですか」
「ずっと一緒にやってきまして」
 それでというのだ。
「お互いによく知っていて」
「それで、ですか」
「いい人とも知っていたので」
「尚更ですね」
「それならと思いまして、恋愛感情も」 
 これもというのだ。
「ありまして」
「それで、ですか」
「私はお受けしまして」
「それで、ですね」
「今はです」
「お付き合いされていますか」
「はい」
 実際にというのだ。
「そうしています」
「そうですか」
「そして」
 早百合さんは僕にさらに話してくれた。
「あの人ですが」
「池辺さんは」
「心がとても奇麗な人で」
「そんなにですか」
「お坊さんの様な」
 そこまでというのだ。
「澄んだ心の方です」
「宗教家みたいな」
「いい意味で」
「といいますと」
「純真で熱心でそれでいて」
 さらにというのだ。 
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