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夢幻水滸伝

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第百五話 鹿に気をつけつつその八

「けれどね」
「わかってねえんだな」
「まだ何もね」
「おめえさんの力でもか」
「必死に調べてるよ、一緒に調べてる子もいるしね」
「それでもだな」
「何もや」
 それこそとだ、ファラは幸田に答えた。
「他のことなら絶対に教えてくれるあたいの神具もね」
「宝珠もか」
「全然教えてくれないしね」
 ファラは幸田に苦い顔で答えた。
「何もわかってないよ」
「そのことがわかったぜ」
 何もわかっていない、そのことがとだ、幸田はファラに返した。
「じゃあ本当にこれからだな」
「あの」
 おどおどした調子でだ、アマードが左手を挙げて言ってきた。
「日本の棟梁さんの」
「綾乃ちゃんか」
「はい、姫巫女さんに調べて頂くと」
「それな」
「どうかと思ったんですが」
「おめえさん鋭いな」
「あっ、実は」
 ガブリエラがここで幸田にこう話した。
「フェリペは中々」
「鋭いっていうんだな」
「しかも成績優秀で力持ちで」
 こうした要素も備えていてというのだ。
「棟梁も頼りにしてます」
「そうなんだな」
「酷いことを言う人もいますけど」
「僕動きが鈍いから」 
 アマードは自分ではこう言った。
「そやから」
「むしろ気が弱いことが問題ね」
 シルビーナはアマードにこう言った。
「あんたの場合は」
「そうかな」
「そうや、もっとや」
 背中を押す様にだ、シルビーナはアマードに告げた。
「前に出るんや」
「そうすればいいんだ」
「そや」
 こう言うのだった。
「自分はな」
「そうなんやね」
「そうすればや」
 それでというのだ。
「やっていけばええわ」
「ほな」
「おう、おいらもそう思うぜ」
 幸田もその手を挙げた彼に言った。
「おめえさんは出来るぜ」
「そうでしょうか」
「おう、さっきの質問だけれどな」
「姫巫女さんはどうかと」
「綾乃ちゃんは神託受けることも出来るからな」
「姫巫女さんだけあって」
「そうした力は多分この世界一だぜ」
 そうだというのだ。
「もうな」
「では」
「おう、だからな」
「こうしたことをこの世界の神々に聞けば」
「わかるかもな、ただな」
「それにはですか」
「綾乃ちゃんも今は忙しくてな」
 幸田は綾乃のその仕事の話もした。
「日本の中の政に今だってな」
「僕達のおもてなしで」
「外交もやってな、とにかく忙しくてな」
「それで、ですね」
「神託を伺うにもな、しかもそれだけの神託となるとな」
「色々準備が必要ですか」
「だからな」
 それでというのだ。 
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