夢幻水滸伝
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第百五話 鹿に気をつけつつその一
第百五話 鹿に気をつけつつ
幸田は中南米の人の星の者達にこう言った。
「そいつらにちょっかいかけたらいかんからな」
「そうすればですよね」
「こっちが油断したら仕返ししてきますね」
「背中向けた時とか」
「そうしてきますね」
「そうじゃ、とんでもない奴等でな」
幸田は彼等に笑って話した。
「それでな」
「そうしてきますか」
「普通に」
「それがここの鹿ですね」
「変に観光客慣れしてな」
そうしてというのだ。
「人を怖がらないうえに神様の使いでな」
「春日大社のですね」
「二日前に行きましたけど」
「あそこですね」
「あそこの神様の使いですね」
「そうなってるからこっちは手出しが出来ねえんだ」
鹿が何をしてきてもというのだ。
「神様が怒るからな」
「厄介な連中ですね」
「そう思いますと」
「本当に」
「ああ、だからな」
それでと言うのだった。
「手出しするなよ」
「何というか」
白いナースの様な服を着ている長い青髪の美少女だ、よく観れば耳のところが鰓になっており人魚であることがわかる。人暗星マルタ=マッケイである、ジャマイカ出身で職業は薬剤師持っている神具は己を護りかつ知力を上げてくれるマヤウィルの衣だ。
「非常にやっかいですね」
「そうなんだよ、本当に厄介でな」
実際にとだ、幸田はマルタにも話した。
「見ているだけにしておけよ」
「ですが」
今度は中南米のインディオの民族衣装を着ている小人が言ってきた、マルタの右肩にいる。人闘星チェチーリア=モンテネグロである。ボリビア出身で職業は歌人持っている神具はウエウエコヨトルの笛でありその音で多くの者を動かせる。
「煎餅を出すだけで」
「寄って来るだろ」
「はい」
実際にそうしてきている。
「お弁当やお菓子を食べていても」
「そうしてくるからな」
だからだとだ、幸田はチェチーリアにも話した。
「本当にな」
「厄介なのですね」
「食いもの寄越せって寄ってきたらな」
その時はというと。
「仕方ないからな」
「その時はですね」
今度は一見すると人間族の中背の整った顔立ちと黒髪が長い少年だった、着ている服は紫色の詰襟の法衣にズボンだ。人佐星ロムロ=アルゲダスである。ペルー出身で種族は実はセルキーであり職業は召喚士持っている神具は召喚の術を唱える速さと威力を大きく上げるウルカグアリーのネックレスだ。
「あげるしかないんですね」
「そうでい」
その通りだとだ、幸田も答えた。
「それはわかるよな」
「はい、よく」
「だからな」
それでとだ、幸田はアルゲダスにも話した。
「いいな」
「ご飯もあげます」
「こいつ等食うからな」
ただ態度が大きいだけでなくというのだ。
「そのことも頭に入れてな」
「そのうえで」
「見ていくもんなんだよ」
「そうなんですね」
「まあこんな連中だからな」
仕返しを忘れず態度も大きく悪食でというのだ。
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