三匹の馬
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第二章
「これで将軍の一番の馬と二番の馬が残ります」
「その二つがか」
「そして相手の二番目の馬にこちらの一番の馬をあてるのです」
「それでは勝てるな」
「間違いなく、そして相手の三番目の馬にです」
「残ったこちらの二番目の馬をあてるか」
「そうすれば」
それでというのだ。
「二勝は間違いないです」
「そうだな、ではな」
「はい、確実に三戦のうち二勝出来るので」
それでというのだ。
「将軍は確実に儲けられます」
「そうだな、では早速孫臏殿の言う通りにやってみよう」
こう言って実際にだった、田忌は孫臏の考え通りに馬の競争で勝負をしていった。すると実際にだった。
彼は馬の勝負で確実に二勝出来る様になり大いに儲けられた。それで孫臏に対して明るい声で話した。
「いや、孫臏殿のお陰で儲けさせてもらった」
「そう言って頂けますか」
「うむ、それでその才なら」
それならというのだった。
「王にも推挙出来る」
「王にですか」
「軍師にな、そうしていいか」
「はい、私もそうして頂ければ」
孫臏は田忌の言葉に強い声で応えた、彼がかつて魏であったことを思い出しつつ。その復讐の為に何としても身を立てたいと思っているからだ。
それでだ、田忌にも強い声で答えた。
「有り難いです」
「ではな」
田忌も頷いた、こうしてだった。
孫臏は斉の軍師となり田忌と共に魏と戦い遂には龐涓を馬陵道において倒し自害に追い込んだ、その時彼は自身を陥れたかつての友に千矢に貫かれた骸を見て田忌に話した。
「私がことを果たせたのは馬からでした」
「あの馬の賭けからだな」
「はい、あのことがあって」
そしてと言うのだった。
「今の私があります」
「全てはあの馬から」
「そして馬の道でことを果たせました」
こう言うのだった、自身の願いが果たされた時に。彼は満足して言っていた。これまでの様々なことを思い出しながら。
三匹の馬 完
2019・4・3
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