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夢幻水滸伝

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第百四話 公園においてその二

「どうもね」
「ここの鹿は嫌っとるわ」
「そのこともよくわかるわ」
「まあそれでもな」
「平城京は鹿ね」
「もうそれが定着してるわ」
 イメージ、それとしてというのだ。
「だからじゃ」
「ここの人達もそれを受け入れて」
「それでな」
 そのうえでというのだ。
「マスコットとしてじゃ」
「大事にしてるのね」
「そうなってる、じゃあおいらちょっとな」
「人の星の子達のところに行って」
「あの連中にも鹿の話してくるわ」
「ええ、わかったわ」
 アレンカールは幸田の言葉に頷き今は彼と別れてだった、そのうえで自分達の仲間達のところに入った。 
 すると早速一人彼に話しかけてきた。その者はというと。
 白い軍服の鰐人だ、見ればカイマンの顔だ。天巧星ファン=インペルである。アルゼンチン出身で職業は提督である。持っている神具は天候を操るトリトンの笛に幸運をもたらす印イクトゥスそして神剣マルミアドリーズだ。
「幸田氏と話していたな」
「ええ、ちょっとね」
 アレンカールはインペルに陽気な笑顔で応えた。
「ここの鹿のことをね」
「そうだったか」
「随分と酷い鹿だけれど」
「確かに。ここの鹿は」
 実際にとだ、インペルも答えた。
「ぞんざいな態度だ」
「そうよね」
「横柄とも言うべきか」
「尊大と言っていいわね」
「というか」
 全身を銀の鎧で包んだ狼人が言ってきた、体毛は白い。天剣星フランシスコ=アレルフォである、メキシコ出身で職業はパラディンだ。持っている神具はあらゆるものを切り裂き隕石も操る剣アスカロンと多くの炎の矢を降らせるギリシア火そしてあらゆる食事を出す魔法のテーブル掛けの三つである。
「ここの鹿は大事にされ過ぎていて」
「その話もしたわ」
「やっぱりね」
「とにかくね」
 とかくとだ、アレンカールはアレルフォにも話した。
「ここの鹿は性格が悪いわね」
「そうだね」
「子供が悪戯したら」 
 アレンカールがその目で見たものだ。
「そうしたらね」
「うん、僕も見たよ」
「私もだ」 
 インペルも言ってきた。
「その子供が油断したらだ」
「背中を向けたらね」
「そこで仕掛けてくる」
「頭突きとかしてね」
「悪い意味で頭がいい」
 インペルはどうかという顔で言い切った。
「ここの鹿達はな」
「うん、何というかね」 
 実際にとだ、アレルフォはインペルにも話した。身振りが軽い。
「ゲリラみたいだね」
「まことにそうだな」
「ゲリラはね」
 アレルフォは今度は所謂非正規な戦闘を行う者達のことを話した、起きている世界では軍服を着ずに市街地や村落で市民に紛れて戦う者達だ。
「どうもね」
「好きでないな」
「こっちの世界では中南米ではそうした戦闘はなかったね」
「太平洋全域でな」
「そうした戦術を採らずに」
 そうしてというのだ。 
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