鏡合わせの如く
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第二章
「その教団も生贄を捧げる様な悪質な教団ですから」
「ここで、ですか」
「倒すべきです、お姉さんの方を狙っているのですね」
「はい、右側がです」
二人の少女達のというのだ。
「左耳に黒子がありますね」
「それで見分けがつきますか」
「そして妹の方は」
まさに鑑映しだ、どちらがどちらか全くわからない。だが中将は父親だけあってわかっていて言うのだった。
「右耳に黒子があります」
「そういえば」
「実際に」
カブラルもアダルジーザも二人を見て気付いた、確かに右側の少女の左耳の耳たぶのところに黒子があり左側の少女の右耳の耳たぶの部分に黒子がある。その他の部分は何もかもがそっくりであった。
「そうですね」
「黒子がそれぞれの場所にありますね」
「ですから」
このことでというのだ。
「見分けがつきます、尚名前は姉がラム妹がリムです」
「わかりました」
「そういうことですね」
「はい、それではですね」
「これから。娘さんを囮にする形になり申し訳ないですが」
「いえ、結果として娘の安全が守られるなら」
中将はカブラルに強い声で応えた。
「確かにその方がいいですね」
「軍隊を動かして掃討されてよかったと思いますが」
カブラルはここでこうも言った。
「それは」
「これは私に、娘のことなので」
「軍の高官ならですか」
「余計に公私混同と言われると思いまして」
そう言われて批判されることを警戒してというのだ。
「避けました」
「そうですか、ですが」
「お二人がですね」
「教団を倒して」
双子の姉の身を守ると保証した、こうしてだった。
カブラルとアダルジーザは双子の姉の身辺を警護すると共に彼女を狙うカルト教団のことも調べた、警察の話を聞くとまさにこのビサウを根城にしていて邪神に生贄を捧げることを至上の喜びとし殺人や誘拐を常とする凶悪な一団だった。
そのことを警察や市役所に星の者として聞いて自分達も調べてわかってだった、カブラルは中将の官邸の中でそこに隠れている双子に話した。二人はいつも一緒にいた。
「相手のことはわかったから」
「だからですか」
「もうすぐですか」
「後は相手は間違いなく来るから」
姉を狙ってというのだ、双子は今はそれぞれこの辺りのシャーマンの服とシーフの動きやすい服を着ている。
ここでカブラルもアダルジーザも二人を見て一瞬目を動かしたが言葉には出さなかった、そうしてだった。
双子にだ、カブラルはさらに話した。
「その刺客を捕まえてアジトを聞き出して」
「殲滅する」
「そうしてですか」
「難を終わらせるから」
こう二人に話した。
「安心してね」
「わかりました」
「それでは」
「教団の規模は数百人、種族や職業は色々で」
アダルジーザも言ってきた。
「後わかってへんのはアジトだけやから」
「そのアジトを突き止める」
「その後で」
「敵を殲滅するから、一人も逃さないで」
「そうしてですね」
『姉』の方が言ってきた、シャーマンの服を着た彼女が。
「私の安全は守られるのですね」
「姉さんがそうなら」
『妹』も言ってきた。
「私も反対しません」
「ほなそういうことで」
カブラルはここでも目を一瞬動かしたが言葉には出さなかった、そうして双子がいる官邸に庭から幾重にも術や道具で警戒体制を敷いて。
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