鏡合わせの如く
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第一章
鏡合わせの如く
ケン=ママニ=カブラルとジョゼ=アグアルーザはこの時カブラルの神託でギニアビサウのビサウに来ていた。街に来て二人が早速旅の冒険者だと素性を隠したうえで街のギルドに入った。そうしてだった。
ギルドに入ってすぐにだ、カブラルはある依頼を見て共にいるアグアルーザに話した。
「これやと思うから」
「この依頼受けるか」
「そうしようと思ってる」
こうアグアルーザに話した。
「僕は」
「自分がそう思うんやったらわいはええ」
アグアルーザはスリックの顔の大きな唇を真一文字にさせて言い切った。
「自分の神託や」
「そやから」
「自分についてく」
こう言うのだった。
「ここはな」
「そうしてくれるか」
「ああ、ほなな」
「依頼を受けるってな」
「今からギルドの方に行くか」
「そうしよな」
こう話してだった、二人はギルドの事務所に行ってそのうえで事務員にその依頼を受けると言った。そうしてだった。
依頼主のところに行くとそこはビサウ駐留の部隊の司令、中将の階級にある者の家だった。官邸であるが将官の家だけあって立派だ。
その立派な家に入ってだ、二人はバンパイアの軍人らしく立派な背丈と体格の黒いオールバックの男。ドミンゴ中将に案内された。中将は軍の高官として星の者達にもよく会っているので二人の顔を見てすぐに言ってきた。
「神託で、ですか」
「詳しいお話は内密ということで」
カブラルは中将に小声で答えた。
「その様に」
「それでは」
「僕達は今は旅の冒険者なので」
「ギルドで依頼を受けた、ですね」
「そうです」
二人でこう話してだ、そのうえで。
カブラルとアグアルーザは中将に家の応接間に案内された、そこにはこの辺りの民族衣装を着たバンパイアの双子がいた。
二人共腰までの豊かな黒髪でバンパイア特有の青白い肌に紅の目を持っている、細面で高い鼻と楚々とした顔立ちである。
二人共小柄で華奢なスタイルだ、鏡で映しだした様にそっくりでアグアルーザは少女達を見てすぐに言った。
「双子か」
「はい、私の娘達です」
「中将さんの」
「実は今姉が狙われていまして」
「お姉さんの方がか」
「実は姉は凄腕のシャーマンで。妹はシーフですが」
中将は娘達の職業の話もした。
「姉のシャーマンの腕をこの辺りで活動しているカルト教団が狙っていて」
「その力を利用する」
「いえ、生贄に使うつもりとのことです」
中将はカブラルの問いに答えた。
「どうやら」
「力を利用するよりも悪い」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「この度娘達をこのビサウからナイロビまでです」
「ケニアの方の」
「あの辺りに行きますとカルト教団もいないと思いまして」
それでというのだ。
「幸いあちらに弟が大佐として赴任しているので」
「弟さんの家族として」
「あちらで暫く暮らしてもらおうと考えています」
「それよりも」
カブラルは亀人の狭い顎に右手を当てて深く思慮する顔になった、そのうえで中将に答えた。
「積極的にです」
「カルト教団をですか」
「倒すべきかと、カルト教団は放置出来ません」
自分達の手前勝手な教理に従い殺人や詐欺、強盗を繰り返す。そうした者が多いからだ。
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