夢幻水滸伝
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第百二話 大社の中でその十
「聞いていても」
「それでもだよね」
オコナーはオニールに応えた。
「実際にこの耳で聞くとね」
「そこはね」
「そう、本当に」
実際にというのだ。
「凄いね」
「昔の鹿児島弁、薩摩弁は」
ヴォネガットも話した。
「もっと凄かったそうですが」
「もうでごわす」
北原はヴォネガットが話した昔の薩摩弁について答えた。
「喋られる人も僅かでごわす」
「そうした言葉ですか」
「そしておいどん達今の鹿児島のモン達も」
それもというのだ。
「聞いていてわからんとです」
「そこまで違いますか」
「日本語でなかと、と」
そこまでというのだ。
「思う言葉でごわす」
「そうですか」
「昔も関西弁も違うでごわすが」
太平洋の大抵の者が喋っているそれもというのだ。
「昔の薩摩弁とは比べものになかとでごわす」
「そこまでちゃいますか」
「そうでごわすよ」
「そういえば」
ここで言ったのはミッチェルだった。
「昔の薩摩弁はあえてです」
「そう、ああした言葉にしたとでごわす」
「他の地域の人が聞いてもわからん様に」
「そうなる様にでごわす」
その様にというのだ。
「あえて変えたとでごわす」
「そやからですね」
「ああした言葉になったとでごわす」
「密偵対策でしたね」
ミッチェルはこうも言った。
「他の国、特に幕府からの」
「それで怪しかモンは切り捨てだったでごわす」
「それが薩摩でしたか」
「それで言葉もだったでごわす」
こちらもというのだ。
「わかりにくかものにしたとでごわす」
「今も慣れないとわかりにくいですが」
「それでもでごわすな」
「はい」
それでというのだ。
「昔の薩摩弁は遥かにでしたか」
「これまで話ばした通りでごわす」
「そう思うと関西弁は」
ミッチェルは今自分が話しているその言葉について述べた。
「わかりやすい言葉ですね」
「ほんまそうですね」
ジェーンはミッチェルのその言葉に頷いて答えた。
「こっちの言葉は」
「おいらあと東北の言葉わからんわ」
オニールはこの地域の方言はと言うのだった。
「特にええと、太宰治って人のおった」
「津軽ね」
ルイーザがオニールに話した。
「青森のさらに北の」
「そう、本州の一番来たの」
「そこの言葉は」
「ほんまわかりにくいわ」
「鹿児島弁もそうで」
「あそこの言葉も」
「どうも日本の北と南は」
ルイーザは無表情のまま考える言葉を話した。
「方言が強い」
「そうだね」
オコナーも述べた。
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