八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十七話 占ってもらってその七
「後でその話を聞いて」
「壮絶ですよね」
「あんな結末は阪神だけね」
先生は僕に真顔で答えてくれた。
「世界のスポーツチームの中で」
「折角ペナント無事に優勝したのに」
「圧倒的な力でね」
特に中継ぎ抑えがよかった、JFK全盛期だった。この時の阪神は六回までしか点を取られないとまで言われていた。
「それでね」
「シリーズもですね」
「勝てると思っていたのよね」
「多くの人が」
「それがね」
「そりゃ駄目だって人もいましたけれど」
江夏豊さんもそうだった。
「それがね」
「あの結末ね」
「三十三対四ですからね」
四試合で終わった、そのシリーズは。そしてロッテは四試合で三十三点で阪神が四点という得点だったのでこう言われているのだ。
「今も伝説ですから」
「永遠に残るわよ」
「日本のスポーツの歴史にですか」
「ネタとしてもね」
「ネタですね」
そう言われると僕も否定出来なかった。
「あれは」
「そうよね」
「はい、本当に」
そう言うしかないものだ。
「あれは」
「私もそれなりに色々なスポーツチームを観てきたけれど」
「阪神みたいなチームはないですか」
「まず華があるわ」
魅力、先生はその話からしてくれた。
「どんな勝ち方、負け方でもね」
「そうですね、絵になりますね」
「そうした意味で華があるわ」
「それは事実ですね」
「不思議な魅力があるチームよ」
「それが阪神ですね」
「けれどね」
華はある、勝っても負けても。だがそれでもというのだ。
「マモノとケンタッキーのおじさんがね」
「憑いているので」
「信じられない負け方もするから」
その三十三対四にしてもだ、日本のスポーツ史に残る出来事とは本当に思い。
「ネタでもあるわ」
「世界でも稀に見るですか」
「ネタチームでもあるわ」
「華があっても」
「華も世界でも稀に見るけれど」
それだけでなく、というのだ。
「ネタという意味でもね」
「世界でも稀ですか」
「ある意味奇跡のチームよ」
世界でも稀に見る華とネタがある、というのだ。
「脅威のチームよ」
「そうですか」
「私も好きになったけれど」
それでもというのだ。
「マモノとケンタッキーのおじさんはね」
「どうにもならないですか」
「怨念も。どれも強過ぎて」
「あんまりにもですか」
「ええ、もうね」
それこそというのだ。
「国家でもね」
「あそこまでの呪いはないんですね」
「そんなものだから」
「阪神は勝てないんですね」
「肝心な時にね」
「そうした時にこそですね」
「絵になる負け方をするから」
そうした負け方も他のスポーツチームより遥かに多い、昭和四十八年最終戦での巨人戦での惨敗もあんまりだと思う。
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