八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十七話 占ってもらってその六
「優勝したわね」
「後はシリーズですね」
「占ったのは昨日だけれど」
「勝ってました?占いでは」
「ええ、勝っていたわ」
「じゃあ勝てますか、シリーズも」
「そうなると思うわ、ただね」
ここで先生は暗い顔になった、それで僕にこうも言った。
「厄介な憑きものは健在ね」
「ああ、マモノにですね」
「ケンタッキーのおじさんは」
「そういったものが本当に憑いてるんですね」
「阪神にはね」
そうだと言うのだった。
「本当にね」
「噂は聞いていましたけれど」
「噂は時として真実でね」
それでというのだ。
「阪神についてもそうで」
「実際にですか」
「憑いていてね」
「何かあるとですか」
「祟りを及ぼしてくるのよ」
「そうなんですね」
「特に夏の終わりからは」
地獄のロードだ、高校野球で本拠地を離れなくてはいけなくなり遠征続きで疲れが溜まる。それで阪神は毎年夏の終わりから調子を落とすと言われている。
確かにそのこともある、だが阪神はそれ以上にというのだ。
「マモノやケンタッキーのおじさんの祟りがね」
「ありますね」
「そう、それがね」
「阪神の呪いですね」
「あんな呪いは他にはないわ」
「阪神だけですか」
「巨人は野球の神様に見捨てられたけれど」
絶対にこれまでの数多くの悪行のせいだ、正直自業自得だと思う。
「それでもね」
「阪神の場合はですね」
「憑いてるから」
「マモノとケンタッキーのおじさんが」
「そして甲子園の怨念が」
これもあるというのだ。
「高校野球で培われた」
「それは培われたものですか」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだ。
「長い間優勝出来なくて」
「最下位もですね」
「多かったのよ」
「そうだったのですか」
「そう、今は毎年優勝しているけれど」
それでもというのだ。
「何時ね」
「力を発揮するかわからないですか」
「そうよ、それこそ誰もね」
「マモノ達は抑えられないですか」
「あまりにも力が強くて」
その呪いの強さはわかる、僕にも。だから阪神の暗黒時代はあれだけ長くてそして多くの悪夢が起こったのだ。
「あのロッテとのシリーズも」
「あれですか」
「二〇〇五年のね」
「僕も聞いてます」
この時のことはだ。
「無茶苦茶酷かったんですよね」
「ええ、私も聞いているわ」
「先生その時日本には」
「まだ来日していなくて学校も」
こちらもというのだ。
「まだね」
「こっちじゃなかったですか」
「日本には八条学園への編入で入ったから」
「留学生としてですね」
「ええ、そうだったけれど」
それでもというのだ。
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