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ある晴れた日に

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60部分:穏やかな夜にはその九


穏やかな夜にはその九

「確かそうだったわね」
「やっぱり根に持ってるんだな」
 正道は先生の今の言葉を聞いて呟いた。
「案外執念深い先生だな」
「何でも細かく見ることよ」
 正道に対してもクールに返す江夏先生だった。
「そうすればわからないこともわかるようになるから」
「じゃあ僕達の誠実さもわかってますよね」
「お酒のこと以外にはね」
 やはりこうなるのだった。
「まあ今は持って来ていないのはわかるわ」
「それはどうも」
「本当に持って来てはいませんから」
「カレーはこういう時本当にいいわ」
 先生はここでまた微笑んだうえでカレーのことを話に出した。
「お酒に合わないからね」
「美味しいですしね」
 田淵先生はどちらかというとそちらの方に関心があるらしい。
「栄養もありますし」
「まあ私は悪童達の飲酒癖の抑えになってくれるのが何よりも有り難いわね」
「ひょっとしてうち等のスタープラチナとか猛虎堂でのことって」
「わかってるの?」
 春華と茜は今の先生の言葉からこのことを考えるしかなかった。
「やばいんじゃねえの?これってよ」
「やばいわよ、絶対に」
「とりあえず。学校と関係ないのならどうでもいいけれど」
 しかしここで先生は言ってきた。
「それでね」
「お店の中は大丈夫よ」
「安心しろ」
 明日夢と佐々はそっと皆に耳打ちする。
「うちはちゃんと根回ししてるから」
「俺の方もな」
「根回しって何をだよ」
「企業秘密よ」
「こっちもな」
 皆の問いには微笑んであえて答えない二人であった。
「お父さんとお母さんが知ってる企業秘密だから」
「うちもな。そういうことさ」
「それって学校だけにしてねえだろ」
「ひょっとしてじゃなくてよ」
 皆囁きながら二人に対して突っ込みを入れる。
「警察とか偉いさんとかにもやってんのか?」
「何かどっかの時代劇の悪役みたい」
「だから営業努力よ」
「なあ」
 あくまでこう主張する二人であった。
「それ位ねえ。大したことじゃないし」
「流石に煙草はまずいけれどな」
 実はこのクラスでは煙草を吸う人間は存在しない。思えばかなり凄いことである。高校生でこっそりというのは往々にしてあることだからだ。
「うちは喫煙場所以外では禁煙よ」
「俺の店は外でだぞ」
「そんなのはどうでもいいわよ」
「そうだよ」
 咲も春華も煙草には全く興味がないといった感じだった。
「あんなの吸っても何にもならないし」
「それよりもな。やっぱりは」
「あれよ。麦で作った飲み物よ」
 静華の今の言葉はかなりダイレクトな隠語であった。
「それかお米とか葡萄で作ったやつね」
「他のジュースを混ぜてもいいけれど」
 凛はカクテルも言う。
 
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