飛び立った天女
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第四章
「それでか」
「おそらく彼女は天界ずっと帰りたかったのだ」
「けれど天界に帰られんかった」
「彼の求婚に負けてな、だが」
「それでもかいな」
「望郷の念はあまりにも強く」
そのせいでというのだ。
「それが募ってだ」
「病に臥せったんやな」
「心の病だ、それが体力を消耗させてな」
「死にそうになってるか」
「そうだ、ここは起き上がられるまでの体力をつけさせて」
そうしてというのだ。
「天界に戻ればな」
「病は治るんか」
「私は体力をすぐに回復する薬を出す」
それは可能だというのだ。
「だからな」
「それでか」
「そうだ、だからだ」
「後はか」
「彼女が天界に戻るだけだ、だが」
「それはな」
どうかとだ、ベッシーは薬剤師に難しい顔で述べた。
「村長さんがな」
「彼の愛は本物だ」
薬剤師は俯いた顔でベッシーに答えた。
「誰よりも何よりも強い」
「そうしたもんでやな」
「それでだ」
「奥さんと離れることはか」
「嫌な筈だ」
「けどこのままやとか」
「彼女は心の病でな」
望郷の念、それが強過ぎてというのだ。
「ここで体力を回復させてもな」
「心がそうやとな」
「死んでしまう」
そうなるというのだ。
「その時はな」
「そやねんな」
「だから問題は彼だが」
「どないするか、か」
「そうだ」
まさにと言うのだった。
「そのことだが彼に話してくれるか」
「それ次第でやな」
「彼女は助かる」
「そうか、ほなな」
「引き受けてくれるか」
「奥さんが助かる方法がそれしかなかったら」
それならとだ、ベッシーは薬剤師に答えた。
「村長さんに言う」
「そうしてだな」
「後は村長さん次第だ」
「そうか」
「ああ、ほなな」
「今からだな」
「村に戻るわ」
村長のいるその村にというのだ。
「そうするわ」
「そうか、では薬を渡そう」
体力を回復させるそれをというのだ。
「今からな」
「頼むわ」
ベッシーはこう答えた、そうしてだった。
薬剤師から薬を受け取るとまたモンスターや獣達を倒しつつガオからオアシスの村に戻った。そのうえで。
村に帰るとすぐに村長に薬剤師の話をした、そして。
ベッシーは村長を見て彼に問うた。
「どないする」
「わしは妻と離れたくない」
村長はベッシーに苦しい顔で答えた。
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