仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ
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虹村兄弟 その3
前書き
虹村兄弟編は、これで終わりかな。
良平さんの時に、仗助の能力では死人が生き返らせられないってことを書いてなかったので、形兆でそのことが分かるということにしました。
つまり、形兆は……、です。
「兄貴…。」
億泰って男の子が泣いてる…。
私が…、私が…二人のお父さんを……。
なにも感じなかった。殺す瞬間も。なによりスタンドをほとんど感じることすらなかった。ソレが恐ろしい!
「うぅう…。」
涙が止まらない。
仗助…、私の弟の力は、誰よりも優しい力だった。
だけど、私の力は……。
「姉ちゃん…。」
「じょうすけ…。」
「姉ちゃんのせいじゃねぇよ。」
「けど!」
すると仗助が私を抱きしめた。
「世界中の誰もが、例え神様が…、姉ちゃんを許さないって言っても。俺は許すからさ。」
「…僕も、ミナミさんのせいじゃないって思います。」
広瀬君もそう言った。
ユルサレテ…イイの?
「そうだな……お前のせいじゃねぇ。望んだのは他でもない、この俺だ…!」
形兆という男が顔を上げた。その顔は顔から出る液体でグチャグチャだ。
「親父を普通に死なせてやることが、俺自身に誓ったことだったんだよぉぉ!!」
「…弓矢を渡しな。ぶっ壊すからよ。」
「……勝手にしろ。もう…必要ない…。」
形兆が投げやりにそう言って、弓と矢を床に放り捨てた。
だが、床に落ちず、浮いていた。
「!?」
この場にいた私達はその現象に驚愕した。
バチバチと音がする。近くにあるコンセントが……。
「コイツは…!」
「弓と矢が!」
「億泰! 離れやがれ!」
「ぐげっ!」
弓矢を拾おうとした億泰君を、形兆が突き飛ばした。
その瞬間、電気の形をした腕が形兆の体を後ろから貫いた。
『この弓と矢は、俺がいただいていくぜ。』
電気があっという間にスタンドの姿に変わった。
「き、きさま…。」
『虹村形兆! あんたにこの矢で貫かれてスタンドの才能を引き出された、この俺がなーー!』
「貴様ごときに…! この弓と矢を…、グぐ…。」
「兄貴ぃーーー!」
「バッドカンパ…。」
『うるせぇぜ!』
凄まじい放電が形兆を焼いた。
「形兆!」
クレイジー・ダイヤモンドが形兆の腕を掴み、敵スタンドから引き剥がした。
ブスブスと焦げた体が悪臭を放つ。
『じゃあな! 弓と矢は有効利用させて貰うぜ!』
弓と矢は、電気と同化し、そのままスタンドと共にコンセントに吸い込まれていった。
「兄貴ぃーーー!」
「今、治す!」
全身から煙を出している形兆の体に、クレイジー・ダイヤモンドが触れて修復した。
けれど……。
「お…おい? 治したんだよな?」
「ああ…、おい、形兆? 目ぇ覚ませよ?」
「仗助…。」
私は、分かってしまった…。
仗助の力は、確かにどんなモノでも直せる…でも…。
完全に失われた命までは…。
「兄貴? 嘘だろ、なあ、嘘だって言えよぉぉおおおおおお!!」
億泰君が、目を開けない形兆の胸ぐらを掴んで揺すった。
二人の家族を失った億泰君の嘆きの声が、ボロボロの空き家に響き渡った……。
「…ぅく…、兄貴は…、死んで当然の男だ……。真っ当に生きれるはずがねぇ、宿命だった……。でもよぉ…! でも兄貴は最後に! 俺を庇ってくれたよなあ~~~~!? お前ら、見ただろぉ~~~!?」
「……ああ。確かに見たよ。おめーの兄貴は、おめーを庇ったよ。」
私は…、なにも出来ませんでした。
形兆と億泰君のお父さんだったモノの傍に落ちている、一輪の青いバラの花が不気味に、鮮やかに咲いていた。
後書き
形兆の残り寿命は、ミナミのスタンドに、かなり削られていました。
残り寿命がどれくらいだったのかは分かりませんが、少なくとも平均寿命以下の以下です。
次回、自分のスタンドを知ってしまい、そして虹村兄弟の父親を殺してしまったことで、ふさぎ込むミナミに、承太郎が……。
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