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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第二部~雅、結婚騒動~
  第1話『凪風雅、23の誕生日』

凪風事件から既に六年が経過した朝のこと。
「…ん、ふぁぁ…」
朝の陽射しを浴びて雅は目を覚ます。
「おはよう、雅。」
雅が目を覚ますと、梨花が笑顔を見せながら挨拶をする。
「どうしたんだ?そんなに機嫌の良くなることでもあったのか?」
雅は尋ねる。
「俺達みんな思っているんですよ。すごい穏やかな顔をして寝ているなって。」
「圭一、そんなに穏やかだったのか?」
「本当に自覚が無いのですね、雅さん。」
沙都子は呆れるように言う。
「私達と旅をしている時は、まるでうなされているような顔だったよ。あと、はやてから聞いたけど、私達と戦っていた時も、今にも死にそうな顔をしていたってリィンフォースが言っていたみたいだよ。」
「そうだったのか…」
雅はしょぼくれるように言う。
「きっと、今こうして穏やかになったのは、今までの重責が降りたからなのです。」
羽入が言うと、
「そんなことは無い。結局、僕の望みは叶わなかった。」
雅さんは反論する。それは、雅が仮釈放されて少し後の出来事だった。

「国家の象徴…ですか?」
「そうです!雅さんは私達の世界や雅さん自身の世界を含めて36の多次元世界を二度に渡って救いました。それに、この世界との融合を阻止した世界は無数にあります。言わば、この国は雅さんがあって初めて成り立つのですよ!」
防衛大臣に就任したニャル子は雅に言う。
「しかし、仮にもテロ行為を起こした僕を国の象徴にした場合、対外的な問題が出ます。」
「おやぁ?雅さん、また刑務所に戻りたいのですか?」
「それを望んでいないのはあなた達の方でしょう?」
「よく解っていますね。」
「仮にも、元国家代表ですよ。」
「そういうわけで、是非とも国家の象徴になってもらいたいのです。」
「それは、防衛大臣の見解でしょうか?」
「いいえ、国家代表をはじめ、議会の九割の意見です。」
ニャル子の意見を聞き、雅は考える。
「……解りました。引き受けましょう。ですが、僕が象徴になった際に、国民からの不平不満はどうしますか?仮にも僕は元犯罪者。道を歩けば石を投げつけられるようなこともあった人間です。」
「大丈夫ですよ。雅さんが考えていた法改正案は今の与党で全て改正しました。当然、国民世論を煽る報道についても準テロ行為に法改正してあります。」
「そうでしたか。あとで現政府に御礼の手紙でも書かないと。」
「それにしても、雅さんが引き受けてくれて助かりましたよ。」

「そういえば、雅は祭りあげられたく無かったのよね。」
「とはいえ、国からの要望には応えない訳にはいかない。」
「相変わらず雅らしいわね。」
「そうだな。それで、これからその国家象徴の授受式があるのだけど、誰が僕に同伴するんだ?」
「心配する必要は無いわ、雅、外で赤坂達が待っているわ。」
梨花に言われて雅が窓を覗くと、赤坂達がいた。
「赤坂さんなら心強い。それじゃあ、今から行ってくるから。」
雅はスーツを着て外へ出て行った。
「さて、俺達も準備を始めるか。」
雅が出て行ったことを確認すると、圭一達は行動を開始する。

「やあ、雅君。お久しぶり。」
「富竹さん、こちらこそお久しぶりです。」
富竹と雅は会釈を交わす。
「移動の護衛は僕と赤坂さんに任されているから、安心してほしい。」
「そうですね。今、ディロードライバーはフェイトに預けています。何か起きても僕自身の自衛手段は限られています。本日は警護、お疲れ様です。」
雅は富竹に案内されて車に乗り、国家樹立の時に建てられた凪風雅記念ホールに案内される。

「凪風様、本日はお待ちしておりました。」
現国家代表が雅に挨拶をする。
「国家代表、並びに各省庁の大臣、本日はよろしくお願いします。」
雅は深々とお辞儀をする。
「これから国家象徴となられるお方がお気を遣わなくても。」
「いえ、礼には礼を以て尽くす。それが我が家系の慣わしですので。」
国家代表の言葉に雅は対応する。
「凪風様、それでは十時より、国家象徴授受式を行います。こちらの中央ホールへ。」
国家代表に案内され、雅は中央ホールへ向かう。


その頃テレビでは雅の国家象徴授受式が生放送で流れていた。
「とうとう雅さんも、この国の象徴になるのか。」
圭一は感慨深く言う。
『たった今、雅様が中央ホールに向かわれました。授受式はこの後十時に行われる予定です。それでは街頭インタビューに入ります。』
今回の国家象徴授受について、どう思う?とテロップが出る。
『はい、そうですね。この国は雅さんがいないと成り立たないので、いいことだと思います。』
『確かに、あの悲惨な事件を起こしたけど、それのおかげで今こんなに平和になったんだし、いいんじゃないですか?』
『理由があっても、悪人を擁護する政府は今すぐ解散しろ!』
『正直、国家象徴が決まっても、この国は変わりませんよね。』
『どんなことでも、おめでたい話はおめでたい話でしょう。』
インタビューでは様々な意見が流れる。
「それにしても、雅さんを使って政府批判とか、反対派は何がしたいんだよ。」
圭一は感想を言う。
『はい。街頭アンケートの結果ですが、半分近くの人が、今回の国家象徴授受に反対しているみたいですね。』
アナウンサーが表を出す。表の下には、『百人に質問』と書かれていた。
「百人にアンケートって、そんなのなんの統計にもならないだろ。」
「内閣府の世論調査だと、八割が賛成になっているのです。」
圭一の意見に羽入が答える。
『それではただ今より、国家象徴授受式が始まります。』

「雪面が広がる中、新たなる息吹がそれを突き破り強く生きる今日、凪風雅を次元保護国の国家象徴とし、国家の安寧と平穏をより一層築き上げることを願い、国家象徴の勲章を凪風雅に授受いたします。」
国家代表の言葉を受け、雅はその勲章を受け取る。

『たった今、国家代表によって凪風雅様に国家象徴の勲章が渡され、国家象徴となられました。』
雅の授受式は生中継で放送される。

「…以上をもちまして、国家象徴授受式を終了いたします。」
これによって、雅は国家象徴となった。
「それでは、国家象徴、国家代表、大臣の退室となります。」
雅達は中央ホールから退室し、外へ出ると再び赤坂と富竹が雅を車に案内する。
「雅国家象徴、ご気分はいかがですか?」 
赤坂は雅に質問する。
「かしこまらなくて大丈夫です。それよりも、緊張はしましたが、自分がこの国の象徴になったという自覚は既に芽生えています。」
「それはよかった。邸宅までの案内は再び私達で行います。ご安心して下さい。」
赤坂は運転手に指示を出して車を発進させる。


「赤坂さん、先ほどと道が違うようですが?」
「これは、説明が遅れてしまい申し訳ございません。本日より雅国家象徴には新邸宅にてお住まいになられることが決まっておりまして、既にチームディロードの皆様もそちらに待機しております。」
「そうでしたか。」
雅と赤坂が話していると、車はある屋敷に止まる。
「雅国家象徴、こちらへ。」
赤坂に案内され、雅は屋敷に入る。
「こちらが雅国家象徴の新邸宅になります。それでは、失礼いたします。」
赤坂は雅に一礼をすると屋敷を出て行く。
「ここが、僕の新しい家になるのか。」
雅は屋敷の中を歩き、扉の位置取りから広さが解る部屋に入る。するとそこには既に食事が並んでいた。
「お帰りなさい、雅国家象徴。」
圭一が出迎える。
「圭一、みんな。今までと同じ呼び方でいいよ。それより、この食事は?」
「津上さんや天道兄妹のお二人、翠屋に頼んで用意してもらったの。」
雅の質問にフェイトは答える。
「それにしても、どうしてこれだけ豪華に?」
「あら、忘れたのかしら雅?」
雅の質問に、梨花は質問で返す。そして、
「「「「「「雅、23歳の御誕生日、おめでとう!」」」」」」
チームディロードは隠していたクラッカーを鳴らす。
「…そうか、今日は僕の誕生日だったんだな。国家象徴授受式のことで頭がいっぱいだったよ。」 
雅は笑い顔で言う。
「本当は各省庁の要人との立食会が入っていたけど、明日にずらしてもらったの。」
「立食会の日程を変更させるなんて、どうやってやったんだ?」
雅は疑問に思う。
「あら、お忘れですか雅さん?私達チームディロードにはそれを可能にする方がいらっしゃるではないかしら?」
「それって…」
「私達の世界を知っているなら、『口先の魔術師』と言えば誰のことか解るわよね?」
「もしかして、圭一…この予定を?」
「予定どころか、これから三日間の日程決めまで俺が何とかしましたよ。」
「流石だな、圭一。だけど、公的な予定を変えて大丈夫なのか?」
「それについては、チームディロードによる雅さんへの監視の為と言えばどうにかなるんですよ。」
「…もしかしてみんな、僕の為に…」
「俺達は最初から、ずっと雅さんの味方ですよ。」
「それから雅、これは私達チームディロードからの誕生日プレゼント。」
フェイトは厳重に保管されているケースを取り出し、それを雅に渡す。
「フェイト、これは…」
雅はケースを開けて驚く。そこにはフェイトを通じて警察庁に保管されていたディロードライバーが入っていた。
「それは、雅が持たないといけない、この国の存在の証明だから。」
「でもいいのか?これを僕に渡して。」
「大丈夫だよ。もうリンディ長官に話は通してあるから。」
「…みんな、本当にありがとう!」
雅はケースの中のディロードライバーを手に取る。
「これで、仮面ライダーディロードの復活ですね!」
圭一は言う。
「これを僕に渡すということは、この国にまた何か異変が起きているんだな?」
「うん。実は、雅がエクシードデバイスの試運転をして半月くらい過ぎたころに…流夜の遺体が忽然と消えていたの。」
「何!?流夜が?それは本当か?」
「うん。警察庁でも捜索を行っているんだけど、未だに見つからなくて。もしものときは、雅に頼みたいの。」
「解った。流夜の件は僕の方でも調べてみる。任せてほしい。」
雅は再び仮面ライダーディロードとなり、新たな事件に参戦する。

その頃、次元保護国に向かって、海から巨大な何かが向かっていた。
“私の子を…返せぇぇぇ!”
to be continued.

次回、仮面ライダーディロード
「この反応は…ゴジラ!?」
“お前達が攫ったことは解っている!”
「やめろ!ゴジラを迂闊に攻撃するな!」
「チームディロード、出動!」
次回『怪獣王の雄叫び』希望を紡いで、全てを救え! 
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