夢幻水滸伝
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第九十九話 中原の者達その一
第九十九話 中原の者達
坂口は中国の星の者達に正倉院のことについて何かと説明していた、だがその説明はどういったものかというと。
「わしは名古屋だぎゃ」
「だからですか」
「どうもこういったものの説明は苦手だがや」
トロールの中国明代の証人の服を着た男に話していた、人狗星莫大人である。中国青梅省出身であり職業は商人だ、そして持っている神具は商売のことなら何でも書いてあり教えてくれる大清会典である。
「名古屋のことなら専門だから何でも話せるにしても」
「坂口さんは名古屋出身だからですね」
「そうだがや」
その通りだとだ、坂口は莫に話した。
「そのことは」
「そうだがや」
「はい、ですがよくわかる説明ですよ」
「そうだといいだぎゃが」
「この正倉院のことをよくご存知ですね」
莫はどうもという顔の坂口にこう返した。
「わたくしはそう思いますが」
「そうだといいだぎゃが」
「はい、どのものも細かいところでご存知で」
「そりゃ学校で習ったからだがや」
「だからですか」
「それでも地元ではないだがや」
その為だというのだ。
「わしはあくまで名古屋だがや」
「名古屋はどんなところですか」
蟹の甲殻人である郁秀才が坂口に尋ねた、星は人微星で職業は学者、神具は知力をかなり上げてくれる老子である、出身は中国山西省だ。
その彼がだ、坂口に聞いたのだ。
「それで」
「説明が長くなるがいいだぎゃか」
「長いのですか」
「そうだがや、わしは生粋の名古屋人だがや」
それでというのだ。
「だから説明も長くなるだがや」
「何といいますか」
オーガだ、オーガの中でもかなり大柄だ。着ている服は宋代の武人のものである。名前を王守義という、星は人猖星職業は格闘家だ。持っている神具は自分が出そうと思えば幾らでも出て来る没羽箭つまり石である。
「坂口さんは名古屋愛が凄いですね」
「それがわしの自慢だがや」
「それでこの大和のことは」
「残念なことにだがや」
「あまりご存知ないとですね」
「自分ではそう思ってるだがや」
こう王に話した。
「そんなに説明が上手だがや」
「よくわかります」
そうだとだ、莫が答えた。
「非常に」
「だといいだぎゃが」
「正倉院は素晴らしいところです」
郁は目を細めさせて述べた。
「歴史の、学問のロマンがあります」
「学者らしい言葉だぎゃな」
「実際にそう思いますので」
「おみゃあさんここが気に入ったみたいだぎゃな」
「平城京全体が、そして出来れば都も観たいですね」
「あっちもだぎゃ」
「はい、そしてです」
郁は坂口に目を細めさせたまま話した。
「やがてはです」
「名古屋もだぎゃな」
「その前に大坂に行きたいですが」
「いや、そこは名古屋だぎゃ」
「名古屋はその次では駄目でしょうか」
「確かに大坂もいい街だがや」
坂口もこのことは否定しなかった。
「何しろわし等の世界では秀吉さんが開いた街だがや」
「豊臣秀吉ですね」
莫は秀吉と聞いてすぐにこの名を挙げた。
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