八条学園騒動記
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第五百二十一話 おもちゃ屋の二階その十一
「発見されなくて」
「そのまま販売されたのね」
「そうだったと思うよ、それで」
「アスキーアートにもなって」
「家庭用ゲーム関連の場所じゃ結構使われてるよ」
インターネット上でというのだ。
「そうなっているよ」
「ううん、相当にね」
「凄いお話だよね」
「そんなバグは」
時々とはいえ転がるボールが選手の生首になるそれはとだ。パレアナはジミーに呆れた顔になって話した。
「そりゃ伝説にもなるわ」
「インパクトも凄いしね」
「やっぱり人手は必要ね」
「お金も時間もね」
「ゲーム制作においても」
「というかゲーム制作こそ」
まさにとだ、ジミーは言った。
「必要だよね」
「アニメ制作と一緒ね」
「アニメもスタッフが少ないとね」
「作画がまずくなったりするから」
「たまにあるよね、切り絵アニメ」
「動かないね」
「そうしたアニメもあるから」
それでというのだ。
「人手はね」
「アニメでも必要よね」
「だから」
ジミーはさらに話した。
「どのジャンルでも人手は必要でも」
「ゲームもそうで」
「それでね」
だからだというのだ。
「三人だったから」
「そんなゲームになったのね」
「そうして伝説が生まれたんだ」
ジミーはこうも言った。
「見事ね」
「確かに見事ね」
「そう思うよね」
「今僕がしているのは狙って作ったクソゲーだけれど」
「そのクソゲーはなのね」
「過酷な環境が生み出した」
まさにというのだ。
「そうしたゲームなんだよ」
「何もかもなくて」
「仕方なく制作して」
「その結果生まれた」
「そうしたクソゲーなんだ」
「本当にクソゲーといっても」
パレアナはここで再認識して言った。
「色々ね」
「わかってくれたね」
「ええ、出すことが多い会社もあって」
「それでね」
「そうした事情で出たりもするのね」
「そうなんだよ、歴史が深いんだ」
クソゲーのそれもというのだ。
「本当にね」
「そうした世界なのね」
「そうなんだ」
「それをつくづく思ったわ」
パレアナにしてもだった。
「今日はね」
「それでわかってくれたね」
「ええ、じゃあね」
「それじゃあだね」
「今からこのゲームクリアするから」
「真エンド観るのね」
「そこまでいくから、無敵なら」
裏技でなったこのモードならというのだ。
「真エンドまで行けるから」
「無敵だったら楽よね」
「うん、確かにクソゲーだけれど」
「無敵モードあるならまだましかしら」
「そういうことまで考えた」
無敵モードを使って真エンドを容易に見られることまでというのだ。
「色々考えたね」
「クソゲーなのね」
「全てを計算してるっていうか」
「計算して作ったクソゲーなの」
「そのうえでクソゲーオブザイヤーに輝いてるから」
「スタッフ凄いわね」
「そう、意図してクソゲーを制作してヒットしてる」
そしてメーカーとして続いているというのだ。
「そんなメーカーなんだよ」
「立派ね、普通に名作を出せばいいと思うけれど」
「それがオーソドックスな戦略だけれど」
企業のそれだというのだ。
「それをね」
「しない戦略もあるのね」
「それで成功してるから」
「ある意味凄いわね」
パレアナも納得した、そしてだった。
ジミーのプレイを観ていた、ゲームは確かに難しいがそれでも無敵モードであるならば平気であった。
おもちゃ屋の二階 完
2019・4・24
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