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戦国異伝供書

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第四十七話 義に従いその二

「ですから」
「何とかです」
「したいですか」
「わたくしが今考えていることは」
 このことはというと。
「信濃との境にです」
「そこにですね」
「城を築き」
 そしてというのだ。
「守りにしようとです」
「お考えですか」
「はい、ですが越後のこと以上に」
「信濃のことをですか」
「わたくしは憂いています、関東のことといい」
 景虎はこの地面のことにも言及した。
「天下のこの乱れは正したいです」
「殿、そのことですが」
 柿崎が言ってきた。
「どうやら公方様もです」
「都のですね」
「はい、あの方もです」
「深く憂いておられるのですね」
「その様です」
 こう景虎に話した。
「都において」
「そうでしょう、天下がここまで乱れていては」
 それならとだ、景虎は柿崎に応えた。
「深く憂いを持たれることもです」
「当然のことですね」
「ですから」
 それだけにというのだ。
「わたくしもです」
「信濃、そして関東のことに」
 近くの二つの地にとってというのだ。
「是非です」
「何とかされたいと」
「考えています」
 こう家臣達に言うのだった、そしてここでだった。
 景虎は直江に対してふとこう問うた。
「近頃養子を取られたとか」
「はい、婿入りという形で」
 直江もすぐに答えた。
「家に入れています」
「そうですか」
「まだ若いですが」
 それでもとだ、直江は景虎にさらに話した。
「文武共に優れた」
「よき人物ですか」
「やがて越後の大きな柱となりましょう」
「そこまでの人物ですか」
「はい」 
 その通りだとだ、直江は再び景虎に答えた。
「まさに」
「ではです」
 その話を聞いてだ景虎は直江に言った。
「日をあらためてです」
「お会いしたいのですか」
「そう考えています」
 こう直江に言った。
「宜しいでしょうか」
「殿がそう言われるなら」
 これが直江の返答だった。
「是非」
「それではです」
「そしてですね」
「やがてです」
 こう言うのだった。
「その者をです」
「越後のですか」
「はい、貴方の言われる通りにです」
 柱にというのだ。
「したいです」
「左様ですか」
「人は一人でも多く欲しいです」
 人材はというのだ。
「わたくしにしても」
「それでは」
「はい、そして」
 さらに言うのだった。 
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