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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三十三話 池田屋騒動その五

「河豚を食べることを解禁したんだよ」
「そうだったのよね」
「そうした面白いお話もあるから」
「義和も好きなのね」
「そうなんだ、あと梅干しも好きだったみたいだよ」
 それとお刺身自体がだ。
「どうやらね」
「梅干しもなの」
「そうだったんだ」
「それはね」
「意外だよね」
「意外と質素なのね」
「生活自体がね」
 そうだったとのことだ、貰っている報酬は流石に桁が違っていて贅沢をしようと思えば出来た人だけれどだ。
「飾りっ気がなくてね」
「食べることについてもなの」
「そうだったんだ、女好きだったけれど」
「そのことは否定出来ないのね」
「実際に桁外れだったから」
 そのことでも歴史に名を残している程だからだ。
「それでね」
「女好きでもなの」
「生活は」
 このこと自体はだ。
「質素だったんだ」
「そうだったのね」
「これは山縣有朋も同じで」
 伊藤博文と並んで明治の元勲だったこの人もだ。
「汚職は凄かったけれど」
「それでもなのね」
「生活自体はね」
 それはだ。
「質素だったんだ」
「汚職しててもなの」
「個人としてはね」
 その生活はだ。
「質素だったんだ」
「そうだったのね」
「汚職はね」
 それで得たお金はだ。
「大抵を政治資金にしていて」
「そっちに使っていたのね」
「お家は見事なお庭を持っていたけれど」
 そうしたことのセンスがあったことでも有名だ。
「毎朝早く起きて槍の鍛錬をして」
「真面目だったんだ」
「乾布摩擦もして」
 これも欠かさなかったらしい。
「自分を一介の武辺だって言ってたんだ」
「武辺、武士ね」
「そうね」
「何かイメージと違うわね」
「人気のない人だけれど」
 明治の元勲の中では一番人気がないかも知れない、これは生前からで戦前を何でも悪く言うマルクス史観でなくてもだ。
「それでも日本に大きな貢献もして」
「見るべきところも多かったのね」
「そんな人だったんだ」
「僕あの人については」
 その山縣有朋についてはというと。
「謀略家で汚職もしてて」
「悪人とだね」
「思っていたけれど」
「陰気で中々人に打ち解けなかったっていうし」
 人間としてはそうだったらしい。
「一度襟を開いた人には親身で人を見捨てない」
「そんな人でもあったの」
「そうだったんだ、問題はあっても」
 謀略なり汚職なりだ。
「それでもね」
「人としてはなのね」
「外道じゃなかったみたいだよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「正当な評価はされるべきなのね」
「日本じゃずっとマルクス史観が強かったけれど」
 それもかなりだ、もう歴史学だけじゃなくて法曹界も教育界もジャーナリストの世界でもそうだった。経済学も然りだった。 
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