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戦国異伝供書

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第四十五話 影武者その八

「宜しく頼むぞ」
「はい、それでは」
「これからもですな」
「武士の道を歩まれますな」
「鍛錬と学問を続け」
「そうして」
「己を高めていく」
 まさにと言うのだった、そしてだった。
 ここでだ、彼はさらに言った。
「ただ、酒はな」
「ははは、それはな」
「それは止めませぬな」
「だから今も飲まれていますな」
「我等と共に」
「そうしておる」
 軽くだが楽しく飲んでいる、現に幸村の顔は赤くなっている。
「これからもな」
「左様ですな」
「それではですな」
「今は飲みましょうぞ」
「我等と共に」
「こうしてお主達と共に飲めば」
 それでというのだ。
「わしは幸せじゃ」
「そう言って頂けますか」
「我等と共に飲めればですか」
「殿は幸せですか」
「位や富貴はなくとも」
「それでもですか」
「そうじゃ、お主達とこうしていてじゃ」
 幸村はさらに話した。
「どうしてそれ以上のことを求める」
「それが殿によって最上のものなので」
「それ以上となると」
「もうない」
「求めるものはないですか」
「そういうことじゃ、それでじゃが」
 幸村は飲みつつだ、十勇士達にさらに話した。
「次の戦じゃが」
「城攻めですな」
 猿飛が楽しそうに言ってきた。
「左様ですな」
「おお、次はそれか」
 清海が猿飛の言葉に応えた。
「そちらの戦か」
「城攻めならば忍である我等のもの」
 海野も楽しそうに言う。
「思う存分暴れられるのう」
「今から腕がなるわ」
 由利も楽しそうな顔になっている。
「どういった戦になるかな」
「さて、次の戦も思う存分働き」
 そしてとだ、穴山も言った。
「殿と共に勝つぞ」
「勝ってそしてじゃ」
 望月は酒を飲みつつ話した。
「また皆でこうして酒を飲もうぞ」
「さて、どういった役目であれ」
 筧の顔も笑みになっている、そのうえでの言葉だ。
「忍者のことで果たせぬことは我等にはない」
「我等十人がいれば」
 伊佐は自分だけとは言わなかった。
「必ずことを果たせるな」
「殿もおられる」
 根津は幸村を見ていた、そうして言うのだった。
「なら何でも出来る」
「その通り、我等十一人がいれば」
 最後に霧隠が話した。
「どの様な堅固な城でも潜り込み仕事をするわ」
「その言葉有り難く思うぞ」
 幸村はその話を聞いて笑顔になって言った。 
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