八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十二話 好漢は心からその十一
「真の武士は非常にでござる」
「もっとかな」
「そうでござる、その人が言っているでござる」
「真の武士は凄い」
「何でも西郷さんがでござる」
「ああ、あの人が理想なんだ」
「その様でござる」
そんなことを言っているというのだ。
「はっきりとは言っていないでござるが」
「西郷さんだね」
「あの人は剣術はしていないでござるが」
腕を痛めて出来なくなったのだ。
「しかしと言っているでござる」
「心がね」
「武士だったでござるな」
「そうなんだ、清貧で自分に厳しい考えは」
禅もしていたとのことだ、とかく自分を律し高めることに務めていて倫理観もかなりのものだったという。
「まさに武士で」
「マー君の言うこともでござるな」
「正しいよ、ただ」
「ただ。どうしたでござるか」
「マルヤムさん今マー君って言ったよね」
僕はマルヤムさんに真顔でこのことを尋ねた。
「そう言ったよね」
「しまったでござる」
マルヤムさんは僕に顔を曇らせて返した。
「実際にでござる」
「そう呼んで読んだ」
「彼のことを」
「そうだったんだ」
「マハドゥーンという名前だからでござる」
「それでマー君なんだ」
「彼もそう呼んで欲しいとのことで」
そう言っていてというのだ。
「拙者もでござる」
「そう呼んでるんだね」
「ただ彼の名前から取っているのではなく」
「ひょっとして」
そのマー君という名前から僕も察した。
「今メジャーにいる」
「田中投手ともでござる」
「やっぱりそうだよね」
「彼がファンなので」
それでというのだ。
「そう呼んで欲しいとのことで」
「そのこともあってだね」
「拙者はマー君と呼んでいるでござる」
「成程ね」
「そして拙者はでござる」
「何て呼ばれてるのかな」
「ザーさんでござる」
こう僕に話してくれた。
「そう呼ばれているでござる」
「ハナザワーンだからだね」
「そこからでござる」
「そうだよね」
「妙に気に入っているでござる」
ザーさんという仇名がというのだ。
「拙者にしても」
「それはいいね、仇名も自分が着に入ったらね」
「いいでござるな」
「自分が嫌だとね」
そうした仇名はだ。
「それで呼ばれたら」
「やっぱり嫌でござるな」
「うん、僕はそうした経験ないけれど」
それでもだ。
「嫌だしね」
「彼も気に入っているごでざる」
「マー君っていうそれを」
「そうでござる」
「ならいいね、しかし」
「しかし?」
「いや、居合をしていても」
それでもとだ、僕は言った。
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