| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十六話 仁王像その十三

「おいらも言うんだよ」
「そういうことですね」
「事実をな」
 紛れもないそれをというのだ。
「勝ちたいなら勝とうと思うなってな」
「それがギャンブルですか」
「そうさ、あと格闘技とかで賭けるだろ」
「ムエタイとかで賭けるな」 
 コープチッティが自国のこの世界のタイでも盛んな格闘技で行われるその賭けごとを話に出して応えた。
「わしはしないがな」
「しないか、あんたは」
「ああ、賭けごとはな」
 これ自体をというのだ。
「負けるからな」
「だからか」
「しないんだよ」
「そうか、そういえばあんたは博打よりもな」
「実際にその競技をやるな」
「そっちの方が好きだな」
「どうもな」
 こうリサールに答えた。
「だからだよ」
「そうか、それでもいいさ」
「いいんだな」
「博打ってのは無理にするものじゃないんだよ」
 リサールはギャンブルについてこうも語った。
「遊びだって言っただろ」
「遊びだからか」
「ムキになってやらずにな」
 それでというのだ。
「勝とうと思わないでな」
「そのうえでやるものやな」
「だからや、ムキになってせずにな」
 そうしてというのだ。
「何度も言うが勝とうと思わない、そもそもムエタイでも強い奴が絶対に勝つか」
「負ける時だってあるわ」
「そや、番狂わせなんて常や」
 ギャンブル、それにはとうのだ。
「そやからや」
「ここでもムキにならないってことか」
「調子が悪い格下の相手でも勝つ」
 そうしたこともあるというのだ。
「そやからや」
「こっちも確実じゃないってことか」
「その通りや、博打に確実はない」
「確実を求めたいならか」
「せんことや」
 コープチッティにも確かな声で話した。
「最初からな」
「そういうことか」
「それが博打ってことや」
「成程な」
「政や戦はちゃうけどな」
「確実に結果は出る」
 バイテが言い切って答えた。
「まさにな」
「そしてか」
「そうだ、圧倒的な国力や戦力で攻めるとな」
「確実に勝てるっていうんだな」
「十倍二十倍の戦力で攻めれば」
 それでというのだ。
「攻められる」
「まあそれはそうだな」
 リサールも国力や戦力のことはわかっている、伊達に南洋の星の者としてどちわにも関わっている訳ではない。
「実際にな」
「政も戦もだ」
「数だってな」
「その通りだ、量もだ」
 それもというのだ。
「あればな」
「確実に勝てるってな」
「そう考えるとだ」
 バイテはここで室生を見て言うのだった。
「先輩のお国にも」
「我が日本にもか」
「我々は負けないですね」
「安心しろ、確かに数は大きい」 
 その力はとだ、室生もこのことは認めた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧