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『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』

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十五話目

(出来栄えはまあまあって所か)

クローズドライグに変身したイッセーとライザーのゲームを眺めながら心の中でそう呟く。
作った本人だからこそ分かる。禁手との上乗せにより今のクローズドライグのスペックはクローズチャージのスペックに大幅に近づいている、と。

(流石にこれは想像以上だな。ハザードレベル5ってのも有るだろうが……)

思えば正規の変身者で有る万丈龍我と近い面もある分クローズとの相性も悪く無いのだろう。ハザードレベルを高めたと言う点での強化も生きている。

元が一般人の為にオリジナルのクローズチャージに変身させたところで本来の変身者には遠く及ばないが、それは自分も同じだと自覚している。

(ラブ&ピースの為に戦う天才物理学者にはオレはなれないからな)

悪魔に成り上がったところで、女王にプロモーションしたところで、本当のクローズには届かないだろうが、今はそれで十分だ。

なお、今は関係ないことだが渡す気が無かったので通常のフルボトルを使っての特殊能力は劣化版も使えたりする。

四季が観察する中、映像の中のクローズドライグは目にも留まらぬ速さでライザーに突っ込んでいくが、ライザーはそれを間一髪で回避する。

ライザーに回避されたクローズドライグはそのままの勢いのままに壁に激突する。

衝突のダメージもなく壁に激突した際に発生した土煙の中からゆっくりとクローズドライグが振り返る。

『……まだ力を制御できてないようだな』

その力に脅威を感じたのだろう、ライザーから余裕が消えたように見える。

『認めたくは無いが、今のお前は化け物だ! 赤龍帝の餓鬼! 悪いがもう手加減しないぜ! リアスの前で散れ!』

『テメエェのチンケな炎で俺が消えるわけねぇだろぉ!』

互いに顔面へと拳を叩きつけるが、クローズドライグにはダメージがある様子はない。

『へへへっ、凄いな、全然効かねえよ。今のオレは、お前なんかに……負ける気がしねぇ!』

そう叫びながらクローズドライグはお返しとばかりにライザーの顔を殴り返す。

(防御面は……上級悪魔レベルなら問題なし、とは言い切れないな。あいつは今禁手(バランス・ブレイク)との同時使用している訳だし)

そう思った後、再び映像へと視線を向ける前に、

(そう言えば、大半の神器(セイクリッド・ギア)、いや全部が本来は禁手(バランス・ブレイク)状態が本来の運用形態と言う可能性もあるよな)

目の前の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)のそれが良い例だ。能力は変わらず全身に鎧を纏うライダーの変身システムに近い。
故に、少なくとも赤と白の一対のそれはあの状態が基本形態、言わば籠手は能力が使える程度の変身アイテムと言うのが分かりやすいだろうか。

(亜種の形態は通常形態で所持者のデータを収集して最適化した形と捉えれば、所有者のデータを収集する機能もあるのかもな)

ライダーシステムの開発能力を有している四季の視点での神器についての考察だが、興味も無いのでその辺で辞めておく。
桐生戦兎のそれのお陰かエボルト由来のフルボトルの技術の方が神器よりも強力で使いやすいのだ。
















『フェニックスの炎は本来ならばドラゴンにも傷を残す。まともにくらうのは危険だったはずだ』

驚愕の感情とともにドライグはイッセーへとアドバイスを告げる。

『お前の体を包んでいる鎧がフェニックスの炎を防いでいるのか?』

「へっ、だったらこいつが有れば無敵って事だな」

「巫山戯るな! そのオモチャがなければオレが触れるまでも無く、お前は消失している! お前など、そのオモチャと神器(セイクリッド・ギア)が無ければただのクズだ!」

「その通りだ! だけどっ!」

再度互いの攻撃が相手に直撃するが、今度は一方的にクローズドライグが殴り飛ばす。

「ぐあぁっ!」

今まで目立ったダメージの無かったライザーが先ほどのクローズドライグの一撃で苦しみ始める。

「この痛みは……っ!? 貴様ぁ!?」

「アーシアから借りておいたんだ」

そう言ってクローズドライグが開いた手の中に有ったのは十字架。
悪魔に対して激しい痛みを与えるそれを握りしめての一撃なのだ、不死身のフェニックスとは言え、元の聖獣としての鳳凰、フェニックスならば無害であろうそれも、悪魔のフェニックスならば不死身の特性と関係のない痛みとなる。

「聖なる力をギフトで高めた一撃は、いくら不死身のあんたでも効くだろう?」

「バカな!? 十字架は悪魔の身を激しく痛め付ける! 如何にドラゴンの鎧を身につけようが……っ!?」

そこまで言った後に、十字架の影響を受けない理由と、イッセーが僅かな時間で禁手に至った理由に行き着いた。

「……ドラゴンに腕を支払ったのか……? それがその馬鹿げた力の理由か!?」

「それだけじゃないぜ」

そう言って対価として支払っていない筈の腕に十字架を身につけてみせる。

「さっきからアンタがオモチャ扱いしてたこのスーツを着てから、十字架を握っても平気なんだよ!」

『おい、このままではラチが開かん。この鎧のコア、そこに譲渡しろ』

「ああ! 行くぜ、赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!!!」












「っ!?」

映像だけでもわかる。開発者と言うよりも製作者だからこそ分かる。
今、イッセーはドライバーではなくスクラッシュゼリーの方に譲渡を行った。
……行ってしまった。

(幾ら何でも、それだけは想定していない、いや、想定出来なかったぞ!)

映像の中でクローズドライグの全身から吹き出す液化した成分が全身を包むと同時に、倍加させられた膨大なエネルギーによりドライバーとスーツが火花を散らして行る。
元々組み込んでおいた自壊装置と合わせてドライバーの限界へのカウントダウンが始まってしまったのだろう。

(嘘だろ?)

全身から溢れ出した液化成分が限界を迎えつつあるスーツに焼かれて急激に硬化していく。そこまでは良い。だが、問題はその形だ。

(クローズ……マグマ?)

単なる偶然か、必然か、高温に焼かれたスクラッシュゼリーのエネルギーは硬化しその姿をクローズマグマの形へと変化して行った。

いや、焼け爛れた様な姿は何処かアナザーライダーを思わせるが、それでもアナザーライダーの特徴など有して居ない姿は間違いなく仮面ライダーの物だと認識できる。

(急激にエネルギーが倍加された事による暴走、それに出口であるスクラッシュドライバーが耐えられなくなって決壊に近い形で全身から噴き出した上で、スクラッシュゼリーが突然変異を起こし始めている?)

一瞬だけ映ったスクラッシュゼリーに罅が入った所から推測してみたが真実は明らかではない。

(ってか、半ばハザードトリガー使ってる様なモンだよな、あれは。しかも、成分自体を強化した)














『チャージクラッシュ!』

「「オオオオオオオオッ!」」

クローズドライグが必殺技を発動させると同時にクローズドライグとライザーの拳がぶつかり合い、その衝撃が試合会場を吹き飛ばす。

「イッセー!」

「お兄様!」

リアスとライザーの妹のレイヴェルの叫びが響く中、拳を振り切った状態で立って居たのはクローズドライグだった。

「があぁ!」

ドライバーを中心に全身に走る火花と同時にイッセーの全身に激痛が走る。ドライバーに起こった小規模な爆発と共にイッセーのクローズドライグへの変身が解除される。

「はぁ……はぁ……どう言う事だよ?」

『あの鎧の中心を勘違いして強化してしまった様だな。力の核そのものを強化してしまったせいで限界が来たんだろう』

「くそ、それじゃあ」

スクラッシュドライバーのパーツが小規模な爆発と共に砕け散っていく。そしてイッセーから離れると同時に地面に落ち、最後の爆発共に完全に破壊されてしまった。

そして、最後に残ったスクラッシュゼリーも完全に砕け散った。
後に残ったのは一つのボトルだけ。

もう一度と思ってスクラッシュゼリーの跡に残ったボトルを握り締めた瞬間、ボロボロになったライザーがイッセーの首を締め上げる。

「『兵士(ポーン)』の力で良くやったと褒めてやろう」

イッセーの首を締め上げる中、

「正直ここまでやれるとは思わなかった。強い悪魔になれると思うぜ、お前」

そう言って締め上げて居た力が抜けてライザーは崩れ落ちる。
既に限界だったのだろう。最後の行動は最後の意地だったと言うことか。寧ろ、フェニックスの生命力が有ればこそ命の方が助かったと言える。

















(……あれ? もう出来てないか、マグマボトル)

四季は試合結果を見ながらそう思ってしまう。

(まあ良いか。これでクローズマグマナックルが作れそうだし)

認識阻害用のアイマスクを取り出してナデシコCの詩乃と雫の2人に撤収の合図を送る。

「この様な勝手な行いをお許しください。でも、部長を、オレの主人であるリアス・グレモリー様を返してもらいます」

リアスの両親も仕方ないと言う様子でそれを認める。リアスの手を取る。

「おめでとう、イッセー君。所で、君の使って居た道具だが」

そんなイッセーの勝利を祝福するサーゼクスの言葉にイッセーは最後に残ったボトルを見せて。

「それが壊れてしまって、これだけしか……」

「フム。では、それを預からせて貰えないかな? もしかしたら修復できるかもしれない」

「っ!? 本当ですか!? 是非お願いします」

そう言ってイッセーがサーゼクスに渡そうとした瞬間、



『おっと、そうは行かないぜ』

『0・1・0』『マスカレイズ!』『快盗チェンジ!』




そんな音が響きボトルにワイヤーが巻き付く。

「何者だ!?」

周囲の貴族たちから騒めきが広がる中、バルコニーのある窓の元まで赤い影が飛び出す。

「お前は赤いコソ泥野郎!」

「ルパンレッドだ!」

そこに立ったルパンレッドを指差してイッセーが叫び声を上げるが、呼び名を訂正する。
そして、気を取り直して巻き付けたワイヤーを引いてボトルを回収しようとするが、

「すまないが、これは君には渡さないよ、ルパンレッド君」

ワイヤーの一部が消失し、ボトルはサーゼクスの手の中に納まってしまう。

「おいおい、魔王様。オレは奪いに来たわけじゃなくて、赤龍帝に渡した物を返して貰いに来ただけだぜ」

「ふざけんな、あの時お前、くれるって言ただろう」

「彼の言う通りだよ。贈り物の返品は良いことじゃないと思うね」

そんなやり取りをしている間に警備の兵士たちがルパンレッドの元に殺到しようとして居た。
自分の不利を悟ったルパンレッドはビルドドライバーを取り出し、

「仕方ない、それはあんた達に預けとくぜ」

それを装着して取り出した二つのボトルを装填、





『フェニックス! ロボット!』
『ベストマッチ!』
『Are you ready?』




「ビルドアップ!」




『不死身の兵器! フェニックスロボ! イェーイ!』




仮面ライダービルド・フェニックスロボに変身して取り囲み兵士達の前で背中の翼を広げ、

「御来賓の方々、お騒がせして申し訳有りませんですた。では、皆さま……オ・ルボワール」

背後に出現したナデシコCへと飛び去っていく。
そして、フェニックスロボを回収したナデシコCは反転し、飛び去っていく。

「「「宇宙戦艦!?」」」

駆けつけた一部の人間界について知っている貴族とイッセー達リアスの眷属達から驚愕の声が上がる中、宇宙戦艦の飛行高度に近づけない悪魔達はただ見送るしかなかった。

「せ、戦艦持ってる泥棒ってなんだよ……」

呆れを含むイッセーからのもっともな呟きが響くのだった。













???

「回収に失敗した様子ですね、彼は」

飛び去っていくナデシコを見送りながらナイトローグはそう呟く。

「これは少しまずい事になりそうだな」

新たな声に気がついてそちらの方へと視線を向けると、そこには盾のようなものを持った金色の騎士の姿があった。

「貴方ですか、『マルス』」

「ああ、お前を迎えにな。ソーサラーも迎えに来ているぞ」

「彼女も来て居たんですか。それは助かります。冥界からの転移は面倒なので」

金色の騎士『仮面ライダーマルス』の指差す先には2人へと手を振っている金色の魔法使い『仮面ライダーソーサラー』の姿が有った。
ナイトローグの口ぶりからしてソーサラーの変身者は女なのだろう。そんなソーサラーの転移によってナイトローグ達三人姿は冥界からの消えたのだった。 
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