夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九十五話 南洋の星達その十
「彼等もいるからな」
「余計にですね」
「霊力が高いのだ」
「そうなのですね」
「この世界の大仏は初代の様だが」
彼等の起きた世界では三代目だ、初代は平清盛が二代目は松永久秀がそれぞれ戦乱の中で燃やしている。
「四天王もだな」
「それだけに年期がある様ですね」
ブッパースウォングも四天王達を観つつ述べた。
「どうやら」
「そうだな、千年以上前の像か」
「千年と一口に言っても」
「相当な長さだ」
「その間ここまで保存し奇麗にしているとは」
「寺院の努力が思われるな」
「全くですね」
「これだけの巨大な像を常に奇麗にしているとはな」
テレサは今も仏像を観ている、その途方もない大きさのものを。
「素晴らしいな」
「観ればよく手入れされている」
「丁寧にな」
「だから余計にか」
「力がある」
この大仏にはとだ、ブッパースウォングも述べた。
「日本全土を護る位にな」
「そうだな、それでだが」
「それで。どうした」
「人の星の者達はどうしている」
テレサは周りを見回してからブッパースウォングに尋ねた。
「今はこの本堂にいない様だが」
「室生さんと一緒に今は外に出てますわよ」
ズーが答えた。
「だからですわ」
「そうか、今はいないか」
「先程まで穴を見ていましたけれど」
大仏の鼻の穴の大きさ程でくぐると病気にならないというその穴をだ。
「今は、ですわ」
「そうか、ならいいがな」
「勝手にふらふらと行くことはですわね」
「やはりよくないからな」
だからだとだ、テレサはズーに答えた。
「何よりだ、しかしな」
「しかしといいますと」
「気付けば室生さんもいないか」
「あの方が案内してですと」
「心配はいらないな」
テレサは微笑んで述べた。
「それならば」
「確かに。あの方がご一緒ですと」
「しっかりした人だからな」
「だからですわね」
「心配無用だ」
「これがあの四人だとや」
ダーガーは瑠璃子達四人の名前を出した、彼等から見ても結構以上にいい加減な面子だとおもっているのだ。
「どうもな」
「全くだ、何か不安が残る」
実際にとだ、テレサはダーガーに答えた。
「あの四人はな」
「そやな」
「善人でしかも付き合っていて楽しい」
テレサは四人についてこうも述べた。
「しかしだ」
「あれだけいい加減やと」
どうにもとだ、マーガレットも言うことだった。
「どうにも」
「あのいい加減さが気になって」
アミンもそこを指摘する。
「不安になるから」
「そうだな、勝手に他の場所に行くこともな」
「あるさかい」
「あの四人はともかくあの者達は大丈夫だ」
リーは南洋の人の星の者達のことに絶対の信頼を以て言い切った。
ページ上へ戻る