夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九十五話 南洋の星達その三
「この世界では近くにもう一つ凄いのがあるけれど」
「あの塔だな」
「天空まで続いているという」
「あの塔の最上階まで行った者はいなかったな」
「まだ誰もね、この世界の神々が集って造ったというけれど」
「あの塔には興味がある」
学者としてだ、リーは述べた。
「一度中に入ってだ」
「調べてみたいのん」
「そう思っている、だがな」
「最上階までは」
「行くことは考えていな」
そうしたことはというのだ。
「そこまでの時間がない」
「私達にはね」
「流石にな、どれだけの場所か知らないが」
それでもというのだ。
「だがな」
「それでもね」
「あの塔のことも興味がある」
このことは紛れもない事実だというのだ。
「私もな」
「そういうことね」
「そうだ、そしてあのウルルとか」
「負けないまでの霊的なものを感じるわ」
シェリルはリーに再び答えた。
「この仏像からはね」
「そう考えるとかなりのものだな」
「春日大社や興福寺からもそうだったわ」
奈良にあるこうした場所からもだというのだ。
「そして大和全体で言うと」
「他の場所からもか」
「三輪大社や長谷寺からもだったし橿原神宮も」
「大きな霊的なものを感じるか」
「かなりね」
「そうか、この大和にはかなりの霊的な場所が揃っているか」
「あともう一つ凄いところがありますで」
ここで一人のタイの僧侶の服をアレンジした様なズボンもある服の虎人が言ってきた。天猖星ピプーン=フワン=スーンだ。時魔導士でありパーリ三蔵、マハーバーラタ、パーリ=ニカーヤの三つの書を神具に持っている。タイ出身だ。
「天理の神殿ですわ」
「あそこもだな」
「そや、棟梁さん達はまだあちらには行って、あせんか」
「まだだ」
リーはスーンにすぐに答えた。
「今度行く」
「そうしたらええですわ、あそこもな」
「かなりの霊力があるか」
「僕も驚きましたわ」
「わいも一緒やったが」
マントに黒いタキシードとズボンという何処かの悪役の様な黒い肌と長い髪の毛、そして赤い目を持っている。魔人という魔力の高い種族である。この者の名はアブドゥル=ロシティーという。職業は芸術家で指揮棒とパガニーニのバイオリンそれにバロンダンスの仮面の三つを神具としている。インドネシア出身で星は天鎮星だ。
「あそこはな」
「君も思ったか」
「そや、かなりの霊力があるわ」
こうリーに話した。
「棟梁さんも行ったらええわ」
「今度そうさせてもらう」
「しかし。この本堂も」
スーンは自分達がいる仏像の中も見ていた、そのうえでの言葉だ。
「かなり広くて」
「若し仏像がなかったらコンサート出来るわ」
ロシティーは芸術家として述べた。
「ほんまにな」
「そうですな」
「いや、ここでコンサートは」
今度は青く丈の長い詰襟の服とズボン、それにマントの漆黒の肌と腰まである金色の髪の毛、そしてやはり赤い目の男が言ってきた。
ページ上へ戻る