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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十話 たけなわになってその五

「実際はね」
「そんなお話だったでござるか」
「うん、この人もね」
「粗暴なだけの人ではないでござるか」
「結構ね」
 この人はこの人でだ。
「面白い人みたいだよ」
「そうでござるか」
「粗暴な一面はあったにしても」
「それを補って余りあるでござるか」
「人間的魅力があったそうだよ」
「あんまりにも乱暴なので切られたというのは」
「実際は違うみたいだよ」
 これがだ。
「新選組の中でも人望があって当時五十人以上いて」
「その中で、でござるか」
「三十七人程が芹沢派だったらしいから」
 つまり三分の二位がだ、おおよそ。
「それに対して近藤派は十五人位で」
「全然違うでござるな」
「しかもこの人勤皇だったから」
 毎朝皇居の方を伏し拝んでいた程のだ。
「幕府と朝廷ってなったら」
「絶対に朝廷につく人でござったか」
「元々水戸藩の人でね」
 勤皇の考えの強い水戸学の影響を受けていたのだ。
「幕府と朝廷が何かあって」
「それでね」
「うん、新選組は幕府の警察だけれど」
 都におけるそれだ。
「その警察長官が強烈な勤皇派だったら」
「幕府にとってまずいでござるな」
「京都守護の会津藩にとってね」
「それで、でござるか」
「会津藩も捨て置けないで」
 それで、というのが真相だったみたいだ。
「暗殺したみたいだよ」
「そうでござったか」
「本当に隊の殆どがね」
 五十数人のうちだ。
「三十七人が芹沢派、芹沢鴨と平間重助を入れたら」
「その二人をでござるな」
「三十九人だよ」
「近藤派は十五人でござるな」
「それだけだと」
 それこそだ。
「新選組の殆どが勤皇派になったら」
「とんでもないことでござるな」
「その後見ればわかるけれど」
 都の動きをだ。
「新選組は活躍してるからね」
「志士達の取り締まりに対して」
「その新選組がね」
 まさにだ。
「勤皇になったら」
「もうどうすればいいか」
「そんなことになったから」
「だからでござるか」
「もうね」
 どうしようもなくなる前にだ。
「あえてね」
「会津藩としてはでござるな」
「近藤勇達に言って」
「暗殺させたでござるか」
「そうみたいだよ」
「随分血生臭い話でござるな」
 マルヤムさんはここまで聞いて述べた。
「本当に」
「そうだよね」
「ヤクザ映画みたいでござるな、日本の」
「ああ、近いよ」
 ヤクザ映画と聞いて僕はすぐに応えた。
「新選組とね」
「ヤクザ映画はでござるか」
「そうみたいだよ」
「そういえば」
 マルヤムさんも言われて気付いた感じだった。 
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