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戦国異伝供書

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第四十二話 信濃の南その十三

「優れた者達を選び」
「そうしてじゃな」
「源次郎と十勇士達もです」
「皆じゃな」
「用いてです」
「そして軍勢もな」
「少なくとも一万は使って」
 そうしてというのだ。
「攻めませぬと」
「落とせぬな」
「到底」
 そうした城だというのだ。
「あの城は」
「そうであるな」
「はい、ですから」
 それでと言うのだった。
「あの城はです」
「織田家もな」
「流石にです」
 天下の器を持ち優れた家臣達も擁する信長でもというのだ。
「攻め落とせるにしても」
「手こずるな」
「あの城は堅城なだけでなく」
「周りに川が多くてのう」
「それも守りになっているので」
 それ故にというのだ。
「中々です」
「攻め落とせる城ではないな」
「はい、尚更」
 川のこともあってというのだ。
「どう考えましても」
「そうであるからな」
「焦って美濃に入らず」
「稲葉山城もな」
「慎重に攻めますか」
「そうしていこうぞ」
 上洛の時もというのだ。
「ここはな」
「それでは」
 昌幸は晴信の言葉に頷いた。
「その様に」
「それではな」
「はい、さすれば」
「そういうことでな、では法を定めたし」
「はい、領地のそれを」
「田畑や街、堤や道をある程度整えてな」
 甲斐と信濃の南のそれをというのだ。
「そうしてじゃ」
「いよいよですな」
「村上家を攻めるとしよう」
 信濃の北を治めているこの家をというのだ。
「そうしていこうぞ」
「さすれば」
「村上家は強いが」
 それでもというのだ。
「ここはな」
「大軍を向けて」
「そうしてじゃ」
「攻めていきまするな」
「そうして信濃の北もな」
「その時は」
「手に入れるぞ」
「必ずですな」
「そうする」
 こう言うのだった。
「兵を動かすならな」
「そうなればですな」
「決して無駄なことはせぬ」
 兵を動かすにも力を使う、それだけにというのだ。
「よいな」
「それでは」
 昌幸も応えた、そうして晴信は信濃の北も見据えて動いていくのだった。


第四十二話   完


                2019・3・16 
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