八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百二十九話 スズキが恋をしてもその十四
「だからね」
「その人が逃げられないなら」
「逃がしてあげることもね」
「大事ですね」
「そう、そこで逃げるなと言ったら」
子供に親の暴力からだ。
「それで子供が殺されたらね」
「逃げるなって言った奴はですね」
「責任取らないとね」
「それで子供が死んだから」
「それは当然と思うわよ」
「厳しいかもですかその通りですね」
「そうでしょ、いじめとかでもそうだし」
逃げるなとか脳味噌筋肉な奴が言ってだ。
「その子が自殺してね」
「言った人に責任がないか」
「いじめ見て笑ってる馬鹿教師は問題外だけれどね」
「そういう教師は生きてる資格ないですね」
「ええ、教師をクビにして」
日菜子さんは怒った口調で言った。
「それでね」
「死刑にすべきですか」
「そうも思うわ、まあとにかくね」
「逃げられるならね」
「逃げるべきよ、逃げることは恥じゃないのよ」
「自分を守る手段の一つで」
「その決断にしてもね」
今いる状況からどうするか、それを決めることでもだ。
「勇気がいるし」
「本当に恥じゃないですね」
「そうよ、しかし何かね」
「何かといいますと」
「いや、今日はね」
日菜子さんは一旦言葉を止めた、そうしてそのうえで僕に対して微笑んでそのうえでこんなことを言った。
「ちょっと朝からお喋りね」
「まあそう言われると」
「そうよね」
「そうですね、今日ここでお会いして」
「沙耶香のことと」
「ご自身のことで」
「色々思ってね」
それでというのだ。
「お喋りしたわね」
「人間何かあると」
「こうして一杯お話してね」
「落ち着きたくなりますよね」
「そんな時があるじゃない、とにかく喋って」
そしてというのだ。
「溜まってるもの吐き出して」
「そうして」
「それで気持ちをすっきりさせて」
「落ち着きたいんですね」
「それで今あたしもね」
「喋ってですね」
「落ち着いたわ」
そうなったというのだ。
「やっとね」
「それは何よりですね」
「ええ、しかし紗耶香に彼氏が出来て」
それでというのだ。
「後はね」
「ご自身もですね」
「彼氏出来たら」
「お二人共合格して」
「それが出来たら」
それでというのだ。
「いいわね」
「そうですよね」
「だからね」
「受験頑張られますね」
「ええ、それでね」
「相手の人にもですね」
「ハッパかけて」
僕に笑顔で話してくれた。
「合格をね」
「二人一緒にですね」
「勝ち取らないとね」
「推薦でもですね」
高校から大学の部内のそれでもだ。
「やっぱり油断出来ないですね」
「やっぱりそれなりの成績でないと」
「それでもですね」
「そう、合格しないから」
これは大学入試というかあらゆる試験でも同じだ、その試験に見合った点数を出さないと合格しない。
「やっぱりね」
「そうですよね」
「そう、だからね」
それでと言うのだった。
「あたしも勉強して」
「相手の人にもですね」
「ハッパかけて」
日菜子さんはまたこう言った。
「そうしてね」
「それで、ですね」
「二人で合格して」
「交際はじめますね」
「そうするわ」
日菜子さんの目は今は明るく輝いていた、そうしてそのうえでそのうえで飲み終えてから僕と別れて自分のところに戻った。僕も自分の場所に戻った。
第二百二十九話 完
2019・3・24
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