| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百十四話 真理の実行その七

「ない位ね」
「これまで生きてきてな」
「ただご飯を食べていただけで」
「無駄飯ばかり食い潰していたな」
「そんな人よね」
「権力に反対するならテロを起こして無差別に人を殺してもいい、か」
 あらためてだ、洪童はその輩の発言を噛み締めた、実に嫌な味だった。
「どうしたらそんな考えに至ったかな」
「逆に知りたいわね」
「それ位のものだな」
「そうよね、私も本気で思うわ」
「そしてそんな馬鹿はな」
「生きていてし方ないわね」
「無駄飯食いだ」
 そこまで至るというのだ。
「そう思った、本気でな」
「親御さん達が泣く位だからね」
「こんな子供に育ったのかとな」
「そこまで馬鹿だとね」
「飯を食ってもな」
 例え一般市民に許されることでもというのだ。
「無駄だ」
「じゃあ即刻断食しね」
「死んだ方がましだ、そして死ぬことがだ」
 そこまでの愚か者ならというのだ。
「はじめて世の中の役に立つ」
「悪質な馬鹿が一人世の中からいなくなって」
「そいつのせいで傷付く人もいなくなる」
「テロで殺された遺族の人がそいつの言葉で傷付かなくてね」
「だからだ」
「そうね、しかし世の中馬鹿もいるわね」
「下には下がな」
 世の中は底辺もありその底もかなりあるのだ、それで愚か者にも様々なランクが存在しているということだ。
 そしてだとだ、洪童はさらに言った。
「俺は本当にそこまで馬鹿になりたくない」
「全く以てそうね」
「知ってる人に働かなく偉そうなことばかり言ってだ」
 そしてというのだ。
「奥さんにも逃げられた人がいたが」
「働かなくてなの」
「全くな、そしてだ」
「その癖口は一人前だったのね」
「自分を偉いと錯覚していてな」
 そうしてというのだ。
「高みに立って上から言っていたが」
「それで奥さんに逃げられて」
「爪切りまで持って行ったと言っていた」
「ああ、それも馬鹿ね」
 ナンシーは洪童の今の話に冷たい目になって述べた。
「爪切りまでお世話になって」
「それでだ」
「そのことに恩も感じないで」
「それでだ」
 そのうえでというのだ。
「そんなことを言った」
「爪切りまで世話になっていても何も思わない恩知らずに爪切りさえ何も出来ない甲斐性なしにそんなことを言っても気付かない無神経さとそんなことまで気にする器の小ささ」
「酷いな」
「そうね、その人もね」
「何を言ってもだな」
「無意味ね」
「俺もそう思う」
 洪童は再び否定の言葉を出した。
「そこまで酷いとな」
「その人も酷いわね」
「爪切り位だ」
 それこそというのだ。
「気にしてどうする」
「そうよね」
「奥さんに爪切りまでお世話になっていてもだ」
「それを恩にも思わないし」
「それすら出来ない甲斐性なしにだ」
「そんなことまで気にする器の小ささ」
「そして恨みがましさにだ」
 それにと言うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧