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夢幻水滸伝

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第九十三話 奈良会議その十三

「そやったらな」
「余計にやな」
「和歌の気持ちになるな」
「他の勢力の子達にも見てもらおうな。鹿もな」
 綾乃は自分達が今奈良にいることからも話した。
「見てもらおうな」
「あの連中か」
 奈良、春日大社の鹿のことを聞くとだ。中里はというと。
 微妙な顔になってだ、こう芥川に述べた。
「あかんやろ」
「ああ、奈良の鹿やからやな」
「あの連中の凶悪さはな」
 それこそというのだ。
「野生の猿とどっちが、やからな」
「そこまで悪質なのはな」
「実際やろ」
「ああ」 
 芥川も否定しなかった。
「ほんまにな」
「そやからな」
「大丈夫や、悪戯する奴はおるやろが」
 星の者の中にというのだ。
「それで鹿に仕返しされてもな」
「そこで終わるか」
「鹿に何かされても同じや」
 奈良の鹿はこの世界でも人間慣れしている、むしろ神の使いと大事にされて傲慢になっている。それで態度も非常に悪いのだ。
 人の弁当や菓子を奪う、煎餅をねだる、やらないと攻撃してくる。そして奈良の街中で我がもの顔で徘徊しているのだ。
 それでもだ、芥川は言うのだった。
「そこでな」
「終わりか」
「傷つけるまでする連中はな」
「流石におらんか」
「ああ、まあさっき会った李はな」
 お調子者のところがある彼はというと。
「何かされそうやけどな」
「あいつはそうかもな」
 中里も芥川のその言葉に頷いた。
「そんな感じするな」
「けどな」
「それでもやな」
「大丈夫や、大仏さんとかも観てもらうで」
「奈良いうたらあれやな」
「そや、あれも観てもらうし奈良の他のところもな」
 是非にと言うのだった。
「そうしてもらいつつな」
「外交していくな」
「やってくな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 日本の星の者達は他の勢力の星の者達を礼装になって迎えた、そのうえで奈良での外交をはじめるのだった。


第九十三話   完


                    2018・12・8 
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