生きている洞窟
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第三章
「矢印がな」
「出て来たな」
「あの矢印に従って行くと」
「何かあるか?」
「それで若しかしてな」
紅美は直観から緑麗にあらためて話した。
「あの矢印通りに行けば」
「私等が探してる冒険者の人等見付かるか」
「そうかもな」
「まあ若し罠とかあってもな」
「私等もう術で何重にも用心してるし」
宙に浮かび灯りを点け身を護ってもいる、洞窟やそうした場所に入った時の常として身を護ったり罠や隠し扉が見える術を二人で全て使っているのだ。
しかも紅美は義賊だ、シーフ系の職業なので罠を見抜き解除したりする能力も備えているからだった。
あらためてだ、緑麗に話した。
「私もな」
「罠を慎重に見抜いていくな」
「そうして進むからな」
「ここはやな」
「矢印の方に進んでみよか」
「まずはな」
二人で話してだ、そしてだった。
紅美は自分が先に立ってそうして罠を慎重に見つつ矢印の方に進んだ、幸い罠はなくまた矢印を見てだった。
その矢印の方にも行った、そちらにも罠がなく。
二人は順調に進めた、そしてだった。
遂に四人を見付けた、四人は洞窟の奥で丁度狩りで倒した洞窟の中にいた獣を調理して食っていた。だが。
紅美はその四人にこう告げた。
「あんた等ギルドから捜索願い出てたぜ」
「実は迷ったんだよ」
「この洞窟形がしょちゅう変わる形がして」
「それでなんだよ」
「俺達も道に迷ってたんだよ」
「そうやったんか、しかし」
四人の話を聞いてだ、紅美は首を傾げさせて言った。
「洞窟の形が変わるか」
「そんな感じがするんだよ」
「俺達ここでモンスターとことん倒して強くなろうって思ったらな」
「ここのモンスター強くて経験値も高いの多いからな」
「そうしようって思ってたらな」
すると、っていうのだ。
「迷ってな」
「一ヶ月ずっとここだよ」
「気力とか体力は休める場所でテント使って回復させてたけれどな」
「一ヶ月もずっとだよ」
「そうか、けど私等が助けに来たし」
それでとだ、紅美は困っていることが明らかな四人に話した。
「術で洞窟を一気に出るか、いや」
「その術は俺達も使おうとしたよ」
「けれどこの洞窟それが使えなくてな」
「何でかわからないが」
「それで出られないんだよ」
「ほな矢印に従って道を進むか」
それならとだ、紅美は自分達がこれまで進んだ道のことを思い出してそれでだった。緑麗と共にだった。
冒険者達と共にこれまで進んできた矢印のある道を逆に行くことにした、四人が道が変わるという言葉が気になったが。
幸い道は変わらず程なくだった、一行は洞窟を出られた。四人は歓喜して紅美達に礼を言った。だが。
洞窟の入り口に白い服を着た黒髪の整った顔立ちの蛇人の女が出て来て言ってきた。
「よく出られましたね」
「あんた一体」
「はい、この洞窟の女神でして」
「そやったんか」
「実はこの洞窟は生きていまして」
「それで気配したんやな」
紅美は女神の話を聞いて頷いた。
「それでやな」
「はい、ですから形もです」
洞窟の中のそれもというのだ。
「変わるのです」
「その都度やな」
「数日単位で」
「そやったんやな」
「はい、そして」
女神は紅美にさらに話した。
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