八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百二十七話 共演してその八
「また違って」
「それで、ですね」
「お百姓さんや町人の娘さんは」
「元気がいい感じですね」
「時代劇なんかそうよね」
時代劇に出てくるそうした身分の娘さん達はだ。
「明るくて」
「どっちも大和撫子じゃないでしょ」
「確かに。お姫様なんかも」
こちらはこちらでだ。
「また違いますね」
「大和撫子とはね」
「本当にお姫様で」
お姫様はお姫様だ、時代劇に出てくると江戸時代に限らずどの時代でも我儘で世間知らずでそれでいて根はいいというのが一つのパターンか。
「違いますね」
「あたし達が思う大和撫子ってね」
「江戸時代にはいない感じですね」
「明治からかくあれとか言われて」
「出来たものでしょうか」
「そうじゃないの?例えば女子学生ね」
日菜子さんは今度はこちらの例えを出した。
「こちらね」
「ああ、大正とかの」
「振袖に袴、靴のね」
今では萌えの一つと言われるファッションだけれど当時はそれこそ女の子がつなぎの作業服で歩いている感じだったらしい。
「ああした頃からね」
「女の人はかくあれと」
「それで出来たものじゃないの?」
「じゃあ最近のですか」
「比較的ね」
明治の頃を最近と言うべきかはわからないにしてもだ。
「そうじゃないの?」
「そうですか」
「それでね」
日菜子さんは僕にさらに言った。
「蝶々さんにお話戻すけれど」
「はい」
「あの人についてはね」
「大和撫子ですか」
「そう思えるけれどね」
「そうですね、ただ」
「あの頃って明治だからね」
「維新の頃ですからね」
それでだ。
「どうかといいますと」
「やっぱり昔からの人じゃないわね」
「蝶々さんご自身は江戸時代生まれでも」
維新の頃の話ならそうなる。
「やっぱり明治ですね」
「そうよね」
「明治になって」
それでだ。
「日本はやっぱり変わりましたね」
「そうよね」
「それも随分と」
「あたしのところも変わったしね」
「沖縄もですね」
「ええ、これがね」
随分と、というのだ。
「明治に日本になったでしょ」
「それまで国でしたね」
「琉球王国ね、それがね」
「明治になって日本に組み込まれて」
「それでね」
それからというのだ。
「随分変わったわ」
「沖縄もですね」
「何から何までね」
「変わりましたか」
「明治の本土と一緒でね」
「近代化したんですね」
「そう、まあけれどね」
日菜子さんは僕に笑ってこうも話してくれた。
「おおらかな感じはね」
「そのままですか」
「今もね」
そうなっているというのだ。
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