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夢幻水滸伝

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第九十二話 太平洋の諸勢力その三

「総動員ですね」
「日本の国力をやね」
「はい、軍勢の規模はこのままですか」
 そちらは増やさないがというのだ、太宰は棟梁である綾乃に話した。
「国力のかなりの部分をです」
「この度の戦に注ぎ込むんやね」
「はい、若しこの戦で負ければです」
「うち等は降るしかないから」
「まさにです」
「今回の戦には日本の総力を注ぎ込むんやね」
「無論内政は忘れませんが」
 それでもというのだ。
「総力を挙げて戦いましょう」
「そうしよな」
「お三方は出陣されますね」
 このこともだ、太宰は綾乃に話した。
「では留守はです」
「太宰君が守ってくれるんやね」
「はい」
 そうするとだ、太宰は綾乃に答えた。
「いつも通り」
「ほなな」
「お任せ下さい」
「宜しゅう頼むで」
「日本は治めていきます」
「そういうことでな」
 綾乃も応えた。
「やってこな」
「それでは」
「そしてな」
 綾乃はさらに言った。
「うち一つ気になることあるけど」
「ロシアのことですね」
「インドとな。あそこウラジオストクにまで到達して」
 極東のその街にというのだ。
「そしてシベリアもや」
「完全に領土にしましたね」
「今回の戦に介入してくるやろか」
「そのことは考えられますが」
 それでもとだ、太宰は綾乃に答えた。
「ロシアとインドは今その手に入れた領土が広大過ぎるので」
「その統治にやね」
「専念せねばなりません」
 そうした状況だというのだ。
「ですから」
「それでやねんね」
「おそらく我々の戦に介入してきません」
「領土めっちゃ拡げたから」
「そうです、何しろ我々の世界で言う旧ソビエト領土にアフガニスタン、インドにパキスタンですから」
 しかもこの世界の広さは自分達の世界の五倍であることもだ、太宰は言葉の中に含めて綾乃に話した。
「あまりにも広大でしかも人口は希薄です」
「あれやろ、多いのはウラルから西のロシアとインド、パキスタンやな」
 芥川がその人口について言ってきた。
「そやな」
「そうです、バングラデシュも多いですが」
「新たに領土にしたシベリアや中央アジアは人口が少ない」
「しかも極めて広大ですから」
「今は治めるので手が一杯やな」
「はい、ですから」
「今はそっちにかからなあかんからや」
 それでとだ、芥川は太宰に話した。
「ロシア、ィンド枢軸はな」
「太平洋のことは介入してこないでしょう」
「というか若ししたいと思っても出来ん」
 太宰は笑って言い切った。
「そっちに忙しくてな」
「その通りですね」
「若し介入しようとしてもな」
「そうするには拠点が弱いですね」
「ウラジオストク位やから」
 彼等が持っている太平洋に介入する拠点はというのだ。
「中央アジアやインドからは砂漠と高原に阻まれてしにくい」
「それには労力が多いです」
「インド洋から入ろうにもな」
 太平洋側にだ。 
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