夢幻水滸伝
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第九十二話 太平洋の諸勢力その二
「とりわけ僕等がどうかや」
「それやな」
「うちは勢力では一番小さい」
「太平洋で神星がおる勢力ではな」
「南洋、中国、アメリカ、中南米の五つの勢力があるけどな」
日本も含めてだ。
「この五つの勢力が実質覇権を争う、他の独立勢力はとりあえずはな」
「カナダとかもんごるとかはやな」
「今はあまり意識せんでええ」
「重要なんはその四つの勢力やな」
「その四つの勢力は何処も日本より人口も国力も多くて高い」
そうなっているというのだ。
「かなりな」
「一国だけやと日本は三位やろ」
「そや、アメリカと中国に次いでな」
そうなっているというのだ。
「総生産や技術はな」
「一国では強いんやな」
「けど勢力としてはや」
一国ではなく、というのだ。
「そうなってるからな」
「それでやな」
「そこでどう戦うか」
「それが問題やな」
「そや、とにかくうちは国力では一番弱い」
その五つの勢力の中でというのだ。
「このことは自覚することや」
「それでどうして生き残るか」
「それが大事や」
「勢力は一番小さい、けどな」
「勝てる要素はあるな」
「そやから今も言うんや」
この場でというのだ。
「何もないともうな」
「話しても無駄やからやな」
「何も言わんでな」
「降る様に言うだけか」
「そや」
まさにというのだ。
「戦っても意味ないんやったら無駄に兵や民に迷惑がかかる」
「それだけやな」
「そやからや」
だからだというのだ。
「今言うのはな」
「勝算があるな」
「そや、あるからな」
だからだというのだ。
「言う、こっちは兵が強い」
「日本の兵は強いか」
「こっちの世界でもな、この前まで戦してて厳しい軍規と訓練で統制を取って鍛えてる」
そうしているからだというのだ。
「兵の数は少ないけど強い」
「精鋭揃いってことか」
「そこもある、そして何よりもな」
「星のモンやな」
中里は自分からこのことを話に出した。
「そやな」
「そや、うちの勢力は星のモンが一番多い」
「それもダントツでやな」
「しかも神星が三人おる」
他ならぬ自分達だというのだ。
「これをどう使うかでや」
「勝ち残れるか」
「そうや、後はや」
「戦術か」
「僕等の力と戦場になる場所の地形」
「その二つを上手に使ってか」
「勝ち残る、ええな」
中里だけでなく綾乃、そして太宰にも話した。
「絶対にな」
「よおわかったわ、ほなな」
「これから戦の用意や」
「それに入るな」
「そうするで」
こう言ってだった、実際に日本は太平洋を統一する戦の準備に入った。ここで太宰は静かに言った。
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