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戦国異伝供書

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第三十九話 信濃守護その八

「それでなのです」
「それで飯を食ってか」
「一休みもして」
「それからじゃな」
「城にと考えておりまする」
「そのことはわかった、ではな」
「飯を食っても宜しいでしょうか」
「昼には少し早いが」
 それでもとだ、今度は信之が答えた。
「わしがどうこう言うことではない」
「それでは」
「うむ、しかしな」
「しかしといいますと」
「武田家からの使者か」 
 幸村と十勇士達を見てだ、信之はあらためて述べた。
「今武田殿は信濃に兵を進めておられるが」
「その話は城の中で」
「祖父殿、父上、叔父上達の前でじゃな」
「お話致します」
「わかった、では頼むぞ」
「その様に」
「してじゃ」
 信之はさらに述べた。
「お主は忍道を使って来たな」
「はい、ここまで」
「ならば甲斐からすぐに来たな」
「二日で」
「やはり速いな、そして見たところ」
 幸村をまじまじと見て言うのだった。
「お主鍛錬は欠かしておらんな」
「学問も」
 そちらもとだ、幸村はすぐに答えた。
「日々です」
「そうか、武芸の十八般とじゃな」
「兵法だけでなく」
「様々な書を読んでじゃな」
「学問に励んでおりまする」
「そのことは変わらぬな」
「どうも何かをしておらぬと」
 どうしてもとだ、幸村は兄に述べた。
「それがしとしましては」
「いてもたってもいられぬな」
「はい、ですから」
「鍛錬と学問に励んでおるな」
「信濃でも」
「よいことじゃ、ではな」
「これからもですな」
「領邦に励んでじゃ」
 そうしてというのだ。
「己を高めていくことじゃ、わしにしてもな」
「日々ですな」
「鍛錬と学問に励んでおるつもりじゃ」
 自分で言うだけはあってというのだ。
「そうしておる」
「それは何よりです」
「やはりこの二つはな」
「せねばなりませぬな」
「さもなければ何にもならぬ」
「全くですな」
「だからじゃ」
 信之もわかっているからだというのだ。
「わしも続けておる、そしてな」
「真田の者ならば」
「誰もが同じじゃ」
「鍛錬と学問に励んでおられますな」
「そういうことじゃ、ではお主達が飯を食ったならな」 
 それからのこともだ、信之は幸村に話した。
「それからな」
「城にですな」
「行こうぞ」
「兄上もですか」
「わしも行くつもりだった」
 そうだったというのだ。
「だからじゃ」
「それで、ですか」
「わしも供にいこう」
「ですか」
「そうじゃ、しかし暫く観ない間にな」
 幸村の顔を見てだ、信之はこうも言った。 
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