八条学園騒動記
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第五百十二話 カレー料理その三
「まろやかにしている」
「それで味の評価はどうなの?」
「美味い」
一言でのコメントだった。
「かなりな」
「それは何よりね」
「甘いが強過ぎないしな」
「程よい甘さなので」
「ルーの中のスパイスも利いている」
甘さで殺されていないというのだ。
「程よい甘さだ」
「甘口だからってやたら甘くしていないのね」
「子供用のカレーでもそれはないな」
「そうよね、ただあんた韓国人だけれど」
ナンシーは洪童の国籍をここで出した。
「辛口じゃないの」
「カレーはか」
「もうこれでもかっていう位辛くしないの」
「韓国料理は辛いからか」
「もう唐辛子と大蒜をふんだんに使って」
「キムチだな」
洪童もナンシーの言いたい味がわかって述べた。
「あの味だな」
「そう、コチュジャンとかも使って」
「それもふんだんにな」
「そうしたイメージあるけれど」
「確かに韓国料理は辛い」
洪童も認めることだった。
「それもかなりにな」
「連合だとタイ料理も辛いけれどね」
「あと四川料理やメキシコ料理もな」
「けれど韓国料理の辛さは」
ナンシーはその辛さの具体的なレベルも話した。
「その中でもダントツじゃないの?」
「そう言われることが多いな」
「それでカレーもって思ったけれど」
「韓国はカレーも辛い」
洪童はまた認めた。
「それもかなりな」
「やっぱりそうよね」
「そうだ、しかしだ」
「それでもなのね」
「甘口も食べたくなる」
そうした時もあるというのだ。
「今がそうだ」
「そういうことね」
「そうだ、そして完食する」
「完食は絶対よね」
「エウロパ貴族みたいなことはするか」
それは絶対にだった、連合では食べものを残すことは相当に忌まれていることだ。エウロパ貴族がそうしていると言われていてだ。
「何があってもな」
「そこで日本と言わないのもあんたね」
「日本人はあまり食い残さないな」
「あの国は特にそうね」
連合の中でもというのだ。
「勿体ないって言って」
「それで食い残さないな」
「この学園半分位日本人だけれど」
日本の学校なのでやはり日本人の学生や職員が多くなるのだその為その約半数が日本人であるのだ。
「食べ残しとりわけ少ないのよね」
「驚く位にな」
「だからあんたも言わないのね」
「逆に日本人よりもな」
「残さない様にしたいのね」
「そう思うが」
それでもというのだ。
「ここで日本は出さない」
「事実は事実てことね」
「残さない人達を残すと言ってもな」
「嘘だからね」
「嘘は嫌いだ」
洪童は実際に嘘は嫌いだ、それで今ナンシーにも言うのだ。
「だからだ」
「正直に言ったってことね」
「こうしてな」
「成程ね」
「そして完食する」
またこう言うのだった。
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