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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百二十七話 共演してその四

「ずっとましでしょ」
「それはそうですね」
「無理解なだけで」
「偏見自体はですか」
「あまりないと思うから」  
 最初の脚本はもっと偏見が強かったというがそれでも本当に当時の酷い人種主義の中ではかなりましだったと思う。
「いいのよ」
「そうですか」
「問題は蝶々さんにしたことで」
 人種的偏見よりもというのだ。
「あの人が何人でもね」
「日本人でもですね」
「ぶん殴っていたわ」
「暴力は駄目でも」
「暴力で何か解決するか」
 それはというと。
「あの人を殴って蝶々さんが戻って来るか」
「言うまでもないですね」
「だから駄目だけれど」
「一発は、ですか」
「殴らずにいられないわ」
「中尉が反論も抵抗もしなくても」
「反撃してきてもね」
 例えそうしてきてもというのだ。
「一発はね」
「そこまで怒っておられますか」
「ええ、ただ一発よ」
 日菜子さんはこのことは断った。
「絶対にね」
「一発だけですか」
「そう、二発は殴らないわ」
「それはどうしてですか?」
「暴力だからよ」
 それがわかっているからだというのだ。
「そんなものを使ったら駄目だから」
「基本はそうだからですか」
「そう、一発だけよ。それ以上はね」
「どんなに怒っても」
「振るったらいけないのよ」
「そういうものですか」
「あたしが小学校の頃の校長先生はね」 
 日菜子さんは自分のお話もしてくれた。
「どんなに怒ってもね」
「一発だけだったんですか」
「普通の先生だった時そうだったらしいのよ」
「へえ、そうだったんですね」
「校長先生のお話をお父さんとお母さんにしたら」
「ご両親ご存知だったんですね」
「お母さんの子供の頃の担任で」
 それでというのだ。
「五年生の時の」
「だからご存知で」
「言ってたのよ、どんなに怒っても」
「一発ですか」
「ビンタ一発で終わらせていたらしいのよ」
 そうだったというのだ。
「それ以上はしなかったって」
「それで日菜子さんもですか」
「そう考えてるわ、学校の話したけれど暴力教師なんて酷いでしょ」
「何十発も殴り蹴りってのいますからね」
「罵ってね」
「もうそれは、ですね」
「絶対に駄目だから」
 暴力の中でもというのだ。
「感情に任せてでしょ」
「そこまでいくと完全にそうですね」
「そうした暴力になるとね」
 それこそというのだ。
「空手やったら駄目だから」
「暴力に空手を使いかねなくて」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「問題外よ」
「そうですか」
「一発でも許されないのよ」
 本当は、というのだ。 
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